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【2】日本社会と朝鮮学校の狭間で

「二つの異なる考え方、そのどちらにも違和感を抱いていました」

中垣内麻衣子 ライター

 日本社会には在日朝鮮・韓国人への差別が根強く残っています。今年に入ってからもさいたま市が朝鮮初中級学校幼稚部にマスクを配布しないと発表し波紋を呼びました。また朝鮮学校(注)は、授業料無償化の対象から外されたままです。

 こうした社会で、今なお数多くの韓国籍・朝鮮籍保持者たちが生活しています。さらに日本国籍を取得して帰化した人々やそうした人たちを親に持つ人を含めるとさらに多くの在日コリアンが日本で生活していることになります。

 彼ら彼女らはどのような思いを抱えながら、日本での生活を送っているのでしょうか。実際に話を聞いてみることにしました。

 前回、話を聞いた原田さん(仮名)は、アイデンティティへの葛藤を抱え、自らの出自を伏せて生活していました。今回、話を聞いたのは、朝鮮学校出身の20代男性です。

(注)朝鮮籍に限らず、韓国籍でも民族教育を受けるために朝鮮学校に通うこともある。現在は生徒の約半数が韓国籍であるとされる

「自分たちは違う」と感じていた

拡大伴奏に合わせ、歌いながら体を動かす朝鮮初級学校幼稚班の子どもたち=2019年10月27日、京都市伏見区小栗栖丸山の京都朝鮮初級学校

 姜惺沅(カン・ソンウォン)さん(26)は、大阪生まれの大阪育ち。両親とも朝鮮学校出身で姜さん自身も幼稚園の年長のときに、朝鮮学校に転入しました。

 「幼稚園では、ハングル(朝鮮語)を学ぶとともに朝鮮の文化についても触れることができました。例えば、朝鮮の正月遊びには〝チェギチャギ〟というものがあります。小銭を紙で巻いたものを落とさないように蹴り続ける遊びです。こういう遊びをしたり、朝鮮の歌を歌ったりしましたね」

 そのまま、小学校・中学校、高校と朝鮮学校で過ごしますが、日本社会との軋轢を感じることも少なくなかったといいます。

 「例えば、北朝鮮がテポドンを発射したという報道があると、インターネットで朝鮮学校が叩かれたり、学校に脅迫文が届いたりしました。そうしたこともあり、『俺らは違うんだな』と小さいころから感じていましたね。ただ、周囲にいるのは皆在日なので、嫌な思いをして抱え込むようなことはありませんでした。

 高校生の頃には、高校の無償化から朝鮮学校が除外されるということがありました。皆で鶴橋で署名活動を行いましたが、冷めた目線で見ている人も少なくありませんでしたね。ただもちろん応援してくれる日本人もたくさんいました」

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筆者

中垣内麻衣子

中垣内麻衣子(なかごうち・まいこ) ライター

1989年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。現在は、扶桑社SPA!Web編集部に所属

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