2020年09月10日
大統領選を2カ月後に控えた米国で、二人の候補者に関する報道はヒートアップしつつある。中でも、世間の常識が通用しないトランプ大統領の言動は、日々話題に事欠かない。
9月3日には、トランプ大統領が2018年にフランスで第一次世界大戦の米軍戦没者たちを「負け犬」「間抜け」と口にしたことが、元側近たちの証言でスクープされた。
本人はその事実を否定したが、親トランプ政権であるFOXニュースのレポーター、ジェニファー・グリフィンが関係者たちに取材をして事実であるという確認をとった、と発言。早速トランプ大統領は「FOXはジェニファー・グリフィンをクビにしろ」とツイートするという泥沼状態となっている(その後FOXは自社のレポーターであるグリフィンの発言を否定)。
これが一国の大統領の発言なのかと驚愕するが、それは今に始まったことではない。だが良識が欠如した度重なる言動に懸念を示し、共和党の中からもトランプ不支持を表明する声が上がってきている。
日本では大きく報道されていないが、9月3日に共和党の重鎮、元ミシガン州知事のリック・スナイダーが民主党のジョー・バイデン候補者の支持を表明した。
同時に、悪名高いミシガン州フリント市で起きた水道水鉛汚染事件では、知事だった彼の隠蔽疑惑が問われ、批判されたこともあった。
長年トランプ大統領の友人でもあり、共和党の中枢にいたスナイダーのバイデン支持表明は、共和党、民主党両方の支持者にとって、大きな驚きだった。
USAトゥデイ紙に掲載された彼の声明文を、少々長いが全文を翻訳して紹介する。
44年前、私は18歳の誕生日を1976年共和党全国大会でジェラルド・フォードを支持する若者のグループに参加して祝った。あの全国大会で私は二人の偉大なリーダー、ジェラルド・フォードとロナルド・レーガンに会う光栄に恵まれた。生涯を通して共和党を支持してきた私は、2012年にはタンパで行われた共和党全国大会で、ミシガン州がミット・ロムニー大統領候補を支持することを誇りを持って最前列で宣言した。
今後も共和党の政策と価値観、そして共和党の候補者を支持し続けていく。だがドナルド・トランプの再選は支持できない。
トランプの再選を支持できない理由
大統領に当選したら、自分の支持者だけではなく全国民を代表しなくてはならない。それが仕事である。私はトランプが大統領就任の宣言をしたとき、首都にいた。大統領として彼が行う最初のスピーチは、分裂していた国民の一致団結を促すものであることを期待していた。だが代わりに私が耳にしたのは、彼が自分の支持者をこれからどのように援助していくかという内容だった。そして悲しいことに、これがトランプ大統領が一貫して続けてきた執政である。
さらにトランプ大統領は、自分に反対する人々を言葉で虐待してきた。要するに、彼はBully(虐めを行う人物。日本語の「いじめっ子」にはまだ憎めないイメージがあるが、英語のBullyは虐待者に近いニュアンス:筆者注)である。
偉大なリーダーは、意見が異なる相手のことも敬意をもって対応する。異なる視点と意見がなければ、国を発展させ、創造していくことができないからだ。Bullyであることと強い指導者であることは、全く違う。強いというのは自分の信念を貫くこと。Bullyとは
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