メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

アメリカ人の心が荒れてしまった――トランプ政権で失われたもの

まさかと思うことが次々と現実になっていく

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

共和党の巨額献金者が郵便公社長官に

 現在の米国郵政公社の長官は、5月にトランプ大統領の肝いりで任命されたルイス・デジョイである。長年共和党に巨額の献金を寄付してきた投資家で、郵便局での勤務経験を全く持たない人物にこの地位が与えられたのは、実に20年ぶりのことだ。

 だがデジョイは実は郵便局の下請け企業の大口株主で、彼の就任には最初から利益相反が懸念されていた。実際彼が就任後、この下請け企業に多額の資金が流れるなど、共和党関係者からも非難の声が上がっている。ジョージ・W・ブッシュ政権の倫理顧問主任弁護士だったリチャード・ペインターは「ブッシュがまだ大統領だったら、ホワイトハウスが彼を辞任させていただろう」と証言した。

 その一方でデジョイ長官は就任してから、郵便配達人の残業禁止、臨時の追加配達の削減など、「経費節減」を理由に郵便局の業務を大幅に縮小した。全米各地で多数の郵便ポストが撤去され、郵便仕分けの機械が廃棄処分になった写真がSNSなどにあげられた。

 8月にはトランプ大統領が、郵便公社への資金援助を拒否。郵便投票を困難にするため、なりふり構わない手段に出たのである。

Trevor Bexonshutterstock拡大郵政事業の経費削減策に反対し、大統領選の郵便投票を訴える運動が全米各地で起こった=2020年8月22日、ネバダ州リノで Trevor Bexon/Shutterstock.com

 だがその後、デジョイ長官は

・・・ログインして読む
(残り:約2434文字/本文:約3622文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

田村明子の記事

もっと見る