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【3】〝在日〟と〝ハーフ〟

「ニューカマー2世」が考える相互理解への道

中垣内麻衣子 ライター

 ジョージ・フロイドさんの虐殺が引き金となり、瞬く間にアメリカを覆った「Black Lives Matter」のうねり。日本でもBLMに呼応し、黒人差別や人種差別を問い直そうとする動きが盛り上がりました。6月中旬に行われたデモ行進には、3500人以上が参加したと言われています。

 こうした反レイシズムの盛り上がりを横目に「在日コリアンへの差別こそ問い直す必要があるのでは」と疑問を持っていた人も少なからずいたようです。いわゆる〝ネット右翼〟が路上に出るにしたがい、ヘイトスピーチやヘイトデモが悪化しています。しかし、カウンターに参加する人は限られており、衆目を集めるには至っていません。

 差別の残る日本社会で在日コリアンたちはどのような暮らしを送っているのか、過去二回に引き続き、当事者たちに話を聞きました。

 前回、話を聞いた姜さんは、大阪の朝鮮学校を卒業後、イギリスの大学へ進学。日本よりも多様性が豊かな社会でアイデンティティを問い直すことができたと話していました。今回は、同じく朝鮮学校出身の男性と、東京韓国学校に通っていたというニューカマーの女性に話を聞きました。

日本語が上手い〝外人〟という扱い

拡大授業を受ける大阪朝鮮第四初級学校の生徒たち=2019年6月5日、大阪市生野区(写真は記事とは直接関係ありません)

 現在、研修医の沈由剛(シン・ユガン)さん(27)は、大阪の朝鮮学校を卒業後、青森県にある大学の医学部に進学しました。

 「僕は朝鮮学校から青森県の大学に進学しました。東京や大阪は朝鮮人が多いので、思想があるというか、『朝鮮人なんや』っていうのがあると思うんですけど、青森にはそういうのがなくて、ただの〝外人〟なんですよ。『在日朝鮮人』っていう概念がないんです。

 なので、僕は〝外人〟だけど、日本語が上手い奴というポジションです。普段嫌な思いをすることは全くないですね。都市部の方がかえって『在日朝鮮人』なんだと認識されて、嫌な思いをしやすいんじゃないでしょうか」

 青森県の大学に進学するまでは、小学校から高校まで大阪の朝鮮学校に通っていたという沈さん。受験勉強にはやや苦労したといいます。

 「小学校を卒業する頃には、医者になりたいと思っていました。母親が看護師だったので、家に医学書がたくさんあったんですよ。それを読んで面白いと思っていたんです。人の体ってとても不思議で、手を挙げるといった単純な動作一つとっても、様々な複雑な過程を経ているんですよ。

 小さいときから医者になりたいと思っていたものの、中高生の頃に医者になるのは意外と難しいんだと気が付きました。特に朝鮮学校は進学校ではないですし、大学に進学せず、高卒で働く人もたくさんいます。大学もそんなに偏差値が高くないところに入る人が多いですね。

 受験を頑張る組というのがあって、僕のときは20人くらいしかいなかったんですけど、医学部を目指していたのでかなり頑張って勉強しました」

 在日本朝鮮人総連合会によると、朝鮮学校からの大学進学率は69%。しかしその中には、朝鮮大学校に進学する多数の生徒が含まれます。日本の大学に入学する学生は決して多数派ではないようです。

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筆者

中垣内麻衣子

中垣内麻衣子(なかごうち・まいこ) ライター

1989年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。現在は、扶桑社SPA!Web編集部に所属

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