2020年10月12日
サッカー日本代表が10月9日、オランダのユトレヒトで約10カ月ぶりとなる代表戦に臨み、カメルーンに0-0で引き分け初戦を終えた。来年3月に延期された2022年カタールW杯予選に向けての強化試合として、13日には同地でコートジボワール戦に臨む。帰国時の規制があるため国内の選手は呼ばず、史上初めて欧州でプレーする選手のみでの試合となった。
9日のカメルーン戦前には、カメルーン選手に新型コロナウイルスの感染者が出るなど、コロナ禍での試合の難しさを改めて認識させられる事態になったが、試合は無事に始まった。試合開始直後から、この試合にかける強い気持ちを示すように、欧州でプレーする選手たちは相手に強いプレッシャーをかけてボールを奪おうとチャレンジ。
後半、森保一監督は10カ月ぶりの代表戦、しかも連携をはかるトレーニングはわずか2日だったにもかかわらず、昨年6月以来の陣形となる「3バック」にシフトを変えた。4バックで1試合を通す安全策でも不思議はないが、監督自身も、思い切った決断でブランクを払拭し、コロナ禍での貴重な一戦にチャレンジしたようだ。試合後、攻撃での課題、守りから攻撃への切り替えで多発したミスを反省点としたうえで「選手が前向きにトライしてくれた」と手ごたえを示した。
安定した守備で無失点は果たした吉田麻也主将は冷静に試合を分析しながらも、「久しぶりの日本代表の試合は本当に楽しかった。90分があっという間だった」と、率直な思いに声を弾ませた。
吉田麻也は試合前、日本とつないだオンラインによる5日の記者会見で「誰もが、僕も含めて待ちに待った代表戦。選手もスタッフも、やっぱりファンの皆さんが待ち望んだ試合だと思う。同時に、日本のスポーツの中で、団体競技としてサッカー日本代表が初めて(海外遠征で)活動するので色々な意味で注目される期間になる。僕らが良い形で成功を収めて、少しずつスポーツが本来の姿を取り戻せるようにしていけたらと思っています」と、コロナ禍での海外遠征に責任感を口にしていた。
コロナの時代を象徴するように、代表の活動もかつてないルールで行われる。
帰国時に自主的な隔離を必要とするため、Jリーグの選手の招集は見送られ、日本からは森保一監督らスタッフ7人のみが出国した。
また今回、サッカーの国際試合のモデルケースとして「バブル」が取り入れられている。「バブル」とは、米4大スポーツでNBA(プロバスケットボール)が早くに導入した感染防止と試合運営を両立させるための方策で、感染していない関係者の行動を、限定したエリア内だけで完結させる「試合のための隔離」だ。息抜きに外出してレストランを利用するのも、買い物やファンとの接触も禁じられる。
NBAは今夏、バブルの先行事例を示した。22チームすべての選手、関係者をフロリダ州の「ディズニーワールド」に集め、中では毎日PCR検査を実施。特殊なリストバンドを全員が24時間はめたまま、行動記録もデータ化した。コロナ時代のスポーツ界で今後スタンダードとして捉えられ、実際に、21年の東京五輪でも検討されている。
反町康治・日本サッカー協会技術委員長は
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください