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「マスクをしていない方お断り」は、客になにを求めているのか

勘違いした傲慢な「神様」は追いはらわれても当たり前

赤木智弘 フリーライター

 9月の下旬に、堀江貴文氏が飲食店との間でいざこざがあったことをFacebookに投稿した。

 堀江氏はマスクをしていたが、同行者がマスクをしておらず、飲食店側から「マスク着用でないと入店できない」と言われ、それに対して「食べてる時以外ずっと着けないとダメなんですか?」と質問。いざこざに発展し、店主から入店を拒否されたという。堀江氏は「マジやばいコロナ脳。狂ってる。」と書いている。

 堀江氏の投稿には、いかにも「店側の態度が悪かった」「自分たちは正しいことを言っているのに、店側が日本語を理解しなかった」というようなことが書かれていた。さらに堀江氏の投稿では一見店名が伏せられているように見えるが、堀江氏の投稿の条件に一致する店は一件しか無いことから、実質的に店を名指しする形で批判していた。

 これに対して、批判された飲食店の店主が反論するなどしたところ、飲食店に対するイタズラ電話などが相次ぎ、飲食店は休業に追い込まれる事態となってしまった。

店側が確認したいのは、客がコロナ対策に協力してくれるかどうか

拡大堀江貴文氏=2020年6月14日

 新型コロナに対する慣れが、人々から危機感を奪いつつある。

 もちろん、当初の越境の自粛や夜の街がどうたらだの、過剰に危機を感じたり煽ったりする必要はないとは僕は思うが、その一方で自粛への反動からか「新型コロナはただの風邪」などと、科学的根拠を無視した主張をする人たちも増えてきた。そうした人たちの中には新型コロナの防護に勤しむ人たちを「コロナ脳」などと嘲笑的に呼ぶ風潮がある。

 当然のことながら、日本では新型コロナの流行はまだ収まっておらず、クラスタ発生の危険は決して消えていない。

 だからこそ、今もなお商店などは終わりなき新型コロナ対策を続けている。小さなお店であればあるほど生活がかかっており、もし店で感染者が発生したとなれば、一気に休業まで追い込まれる可能性もある。新型コロナ対策をやめるわけにはいかないのは当然である。

 そうした中で、飲食店が「入店者にマスクの着用を求める」ことは、十分に合理的な判断であると考えられる。

 確かに食事をするときはマスクを外すのだから、入店する際にマスクを着用していることは一見、形式的で無意味に思える。堀江氏の疑問は全くの的外れとはいえないだろう。

 しかし、入店するにあたりマスク着用をお願いする店の意図は決して「入店の際にマスクをすることが新型コロナ感染防止に対して有効か否か」とか「食べるときにマスクを外すのに、どこまでマスクをしていなければならないのか」という部分にはない。そうではなく、これから入店しようとする客が「店舗側の新型コロナ対策に協力してくれる客か」ということを確認しているのである。

 先に書いたように、いかなる理由があろうとも、お店でクラスタが発生してしまえば、店舗の継続や今後の生活に関わってくる。そうした中で、最小限のお願いとして入店者にマスクの着用を求めているのである。

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

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