2020年10月21日
10月15日、「WEリーグ」を運営する一般社団法人日本女子プロサッカーリーグが、来年9月の開幕に参入する11クラブを発表した。
「マイナビ仙台レディース」、「浦和レッドダイヤモンズレディース」、「ちふれASエルフェン埼玉」、「大宮アルディージャ」、「ジェフユナイテッド市原・千葉レディース」、「日テレ・東京ヴェルディベレーザ」、「ノジマステラ神奈川相模原」、「アルビレックス新潟レディース」、「AS長野パルセイロ・レディース」、「INAC神戸レオネッサ」、「サンフレッチェ広島F.C」で、北海道と九州、四国には参入クラブはなかったものの、11ものクラブで異例の奇数でのスタートとなった。
1993年Jリーグの発足時の10クラブを「オリジナル10」と呼称。伝統やクラブの体力を言い換える場合に用いるなど、女子の「オリジナル11」も、いわば将来も続く栄えある「タイトル」といえる。
オンライン会見で岡島喜久子チェア(62)は「どのクラブにも魅力があり、また理念への熱心な姿勢も感じた。ホームタウンでの広がりを重視した」と、4回の選考過程での評価と共に、財務状況の審査、また目標とする1試合集客5000人の現実性を重視した結果と明かした。
内訳は、すでに「なでしこリーグ1部」で優勝している女子サッカーのリーダー的存在としてベレーザ、浦和、神戸が順当に参入。1部からほかにも、仙台、新潟、千葉、ノジマステラがこれに続いた。また、なでしこリーグ2部からは、ちふれ、長野が入り、今回、新規参入として新しく女子クラブを作るのは、Jリーグでおなじみの「大宮アルディージャ」と、「サンフレッチェ広島」。Jリーグのカテゴリーから新規で参入を表明した2クラブは、現時点で組織がまだ立ち上がっていないものの、財政的にも、集客ノウハウでもすでにJ1での実績がある。奇数のキャスティングボートを握ったのは、2つのJクラブだった。
関係者は「新規2クラブを落とすか、2つを入れるかで議論があり、どちらも状況がほぼ同じで難しくなった。最後は、あえて奇数の11でスタートするのも、チャレンジでは、2クラブ参入でまとまった」と話す。広島県は、日本サッカー協会の歴代会長に長沼健氏(08年没)、野津謙氏(1955年~76年着任)を輩出するなどサッカーの発展に貢献した土地柄で、大宮では、なでしこジャパンを11年の優勝に導いた佐々木則夫氏がアドバイザーを務める。両者を選んだ結果が、試合のないクラブが生まれる奇数からのスタートの理由となった。2クラブの具体的な選手選抜やチーム構成は今後検討されるという。
女子サッカーは89年に「日本女子サッカーリーグ」、93年から「L・リーグ」がバブル経済を背景に隆盛期を迎えた。当時は、すべてのクラブが専用グラウンドを持ち、厚遇を受けられたために「世界最高の女子リーグ」とまで言われた時代だ。しかしバブル崩壊に伴い企業の相次ぐ撤退で、女子サッカー、選手たちは苦難を味わってきた。
女子サッカーのパイオニア的存在でもあり、現在なでしこジャパンの高倉麻子監督(52)は、ジョークを交えて言う。
「11クラブの発表会見は私もオンラインで見ていたのですが、選手よりも私のほうが興奮していました。女子にもプロサッカーという職業が誕生し、そこを目指せる。私自身、うらやましい。どこか、契約してくれませんか?」
WEリーグは、男子にはない最低年俸270万円の保証を設け、プロA契約5人以上を含み10人の契約を必要とする。神戸のFWで得点王にも輝いている田中美南(みな)は「ずっと夢だった」と、15日の参入会見で話した。今後はサッカーをしている女の子たちが、田中のように「夢のプロ選手」と、新たな職業と捉えられるだけの発展性を維持しなくてはならない。
93年のJリーグ発足時は、「日本サッカー悲願のW杯出場」、つまり
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