メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

 私たちは建物の中で日々過ごしているので、地震の時に感じる横揺れは建物の応答である。この揺れに対して安全を確保する必要がある。建物の中の揺れは、地震の大きさ、震源域からの距離、地盤の硬軟や、建物の構造や高さ、建物内の居住階によって異なる。家具の転倒防止などの室内の安全対策は、この揺れに対して行う必要がある。

 多くの建物の耐震設計では、建物の平均的な横揺れ(加速度応答)に相当する量が耐震基準で規定され、その揺れに対して安全性が確認されている。すなわち、地震のときの建物の揺れと、耐震基準に規定された建物の揺れとの大小関係によって、安全性が判断される。また、同じ建物の中でも、低層階に比べ高層階の方が強く揺れる。高層階に住む場合には、家具の転倒防止は必須である。強く揺れれば、エレベーターも止まる。高層階で籠城できるよう様々な備蓄も心がける必要がある。

拡大熊本地震で崩落した熊本城の石垣

建物と地盤の揺れの相性

 建物の揺れは、建物に地盤の揺れが作用することで生じる。実は、建物と地盤の相性によって、同じ地盤の揺れでも建物の揺れは全く異なる。建物の揺れやすい周期成分を多く含んだ地盤の揺れに対しては、建物は大きく応答増幅する。これを、共振という。下敷きを手にもって、手を左右に揺すってみてほしい。手の揺すり方で揺れ方は全く違う。

 地震の時の地盤の揺れ方も様々である。強い揺れと弱い揺れ、ゆったりした周期の長い揺れと小刻みな周期の短い揺れ、短い時間で終わる揺れと長い時間揺れ続ける揺れなどである。これらは、それぞれ、揺れの強さ、揺れの周期、揺れの継続時間に当たる。

 しかし、一般の建物の耐震設計では、こういった建物の揺れ方を考えることはない。地盤や建物の揺れ方を考慮するのは超高層ビルや免震ビルなどの特殊な建物に限られており、多くの場合には、耐震基準で定められる建物の平均的な応答に対して安全性が確認されている。従って、同じ地震でも、揺れやすい地盤に建つ揺れやすい建物は、地震の時に損壊しやすいということになる。

 そこで、地震の時の揺れについて考えてみる。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

福和伸夫

福和伸夫(ふくわ・のぶお) 名古屋大学減災連携研究センター長・教授

1957年に名古屋に生まれ、81年に名古屋大学大学院を修了した後、10年間、民間建設会社にて耐震研究に従事、その後、名古屋大学に異動し、工学部助教授、同先端技術共同研究センター教授、環境学研究科教授を経て、2012年より現職。建築耐震工学や地震工学に関する教育・研究の傍ら、減災活動を実践している。とくに、南海トラフ地震などの巨大災害の軽減のため、地域の産・官・学・民がホンキになり、その総力を結集することで災害を克服するよう、減災連携研究センターの設立、減災館の建設、あいち・なごや強靭化共創センターの創設などに力を注いでいる。

福和伸夫の記事

もっと見る