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日本の観光復興のカギを握るインバウンド客が戻ってくるこれだけの理由

日本の観光復興と訪日インバウンドを考える

小松﨑友子 観光ブランディングプロデューサー/株式会社iNTO代表取締役

最初に戻ってくるのは東アジアの訪日リピーター

 このように、インバウンドが日本の観光にもたらしている影響は、質・量ともに大きい。

 ではインバウンドはいつ、日本に戻って来るのだろうか。

 訪日リピーターコミュニティ「JAPANCOLLECT(ジャパンコレクト)」で実施した今後の訪日意向についてのアンケート調査の結果(9月28日~10月5日実施)をみると、「入国規制が解除されたらすぐにでも日本へ行きたい」との回答が約5割を占めた。コロナ禍にあっても訪日リピーターの訪日意欲はまったく衰えていないと言える。

拡大◇JAPANCOLLECTアンケート調査「次回いつ日本に行きますか?」

 また、インバウンドのなかでも入国規制解除後最初に日本に戻ってくるのは、台湾や香港など、東アジアの訪日リピーターである可能性が高い。欧米に比べて感染状況が落ち着いていることに加え、経済的な結びつきも大きく、実際にビジネス目的の旅行では、アジアが先行して規制緩和が進んでおり、観光分野においても先行して進むと考えられる。また、上記のアンケート結果が示すように、訪日意欲の面から見ても、東アジアからの訪日旅行は早い時期に回復するだろう。

 東アジアとは中国、韓国、台湾、香港を指すが、そもそもそれだけで訪日旅行者数全体の約7割を占めていた(2019年度 1位中国、2位韓国、3位台湾、4位香港)。従来から、東アジアは日本にとって最重要マーケットなのだが、その傾向がいっそう強まる。

拡大◇2019年度 国別訪日外国人客数=出典:日本政府観光局(JNTO)

懸念される政治リスク

 ただ、同地域には難しい問題も存在する。“政治リスク”である。

 たとえば尖閣諸島が国有化された2012年には、中国政府は介入を明言はしていないものの、訪日団体旅行が相次いでキャンセルされた。JNTO(日本政府観光局)の統計によると、2012年8月の中国からの訪日旅行者は19万3800人だったが、11月には5万2000人 (前年同月比-43.6%)まで落ち込んだ。

 2019年、徴用工問題や輸出管理の優遇対象国除外措置に端を発し、韓国からの訪日旅行者が激減したこともある。JNTO(日本政府観光局)による統計では、2019年度訪日観光客数において唯一マイナスとなったのが韓国で、年間で25.9%減。上記の問題が起きた8月以降は、月間約6割減程度で推移している。

 長崎県対馬市では、同市の比田勝港からの韓国人入国者数が2019年1月は約2万8000人であるが、12月には約4000人まで落ち込んだ。対馬の観光客は5割弱が韓国人旅行者だったが、8月以降はそれがごっそりといなくなったため、大ダメージを受けている。(下のグラフ参照)

拡大◇2019年度対馬市の月別観光客数=出典:長崎県観光統計データ、総務省「出入国統計」をもとにiNTOで作成

 さらに懸念されるのが、米中関係のリスクである。

 2017年、在韓米軍によるTHAAD配備に対して、中国は韓国への観光旅行を制限して報復措置をとり、韓国経済に大打撃を与えた。この問題は元はと言えば、米中対立の問題である。昨今米中関係の緊張が高まっている。日本政府の舵取りによっては、中国からのインバウンドにも影響が及ぶ可能性がある。

 このように、訪日旅行者数第1位、2位の中国・韓国には常に政治リスクがつきまとう。リスクを考慮した上で、戦略を練る必要がある。

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筆者

小松﨑友子

小松﨑友子(こまつざき・ともこ) 観光ブランディングプロデューサー/株式会社iNTO代表取締役

東京都出身。広告代理店を経て独立。日本の「旅」と「食」を国内外に発信するマーケティングプロデューサーとして、日本全国の自治体及び企業のブランディング・マーケティングに関する課題の解決に取り組んでいる。大の映画好きであり映画関係者のコミュニティを運営。株式会社iNTO(イントゥ)代表取締役、早稲田インバウンド・ビジネス戦略研究会メンバー。「ジャパン・ツーリズム・アワード」メディア部門賞受賞「インバウンド・ビジネス戦略」共著にて出版。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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