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バレット最高裁判事の就任で、アメリカ社会は数十年前へと逆行するのか

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

同僚たちからの嘆願書

連邦最高裁判事エイミー・コニー・バレットの就任は、アメリカ社会の「希望」「進歩」「正義」の象徴になるのか  Phil Pasquini/Shutterstock.com拡大エイミー・コニー・バレット氏の連邦最高裁判事就任は、アメリカ社会の「希望」「進歩」「正義」の象徴になるのか Phil Pasquini/Shutterstock.com

 バレット氏の指名は、最初から米国を真っ二つに分ける火種だった。

 10月10日、バレット氏が教鞭をとっていたノートルダム大学の教授たち88人が、元同僚であるバレット氏本人に向けてこの指名の公聴会を大統領選後まで延期させる嘆願書を、オープンレター(公開状)として公表した。

 その翌日の10月11日には、米国の弁護士、判事、大学教授、ロースクールの学生など、合計6056人の法律関係者が、医療保険制度廃止の危機などを理由に、上院議会にバレット氏の承認を否決するようオープンレターを出している。この文書には、アラバマ、アラスカ、テネシー、テキサスなど圧倒的に共和党が強い州からの署名も含め、全部で238ページに及んでいる。

 ノートルダム大学の教授たちがバレット氏に向けたオープンレターには、まず彼女が指名を受けたことを祝福した上で、大統領選挙が事実上すでに始まっていることを最も大きな理由として挙げている。10月10日の時点で、郵便投票、不在者投票などによってすでに700万人の国民が投票を済ませているのだ。

 二つ目の理由は、ギンズバーグ判事の遺言だ。バレット氏は指名式の際に、ギンズバーグ判事の偉業を讃えているが、彼女に本当の敬意を表する気があるのなら、ギンズバーグ判事の遺言を尊重して欲しい、ということだ。

 さらに彼女の指名は、

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

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