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相次ぐ大学スポーツ界の大麻事件 問題と信頼回復のカギは

増島みどり スポーツライター

拡大会見で頭を下げる東海大の山田清志学長(左から2人目)ら=2020年10月17日、神奈川県平塚市、斎藤茂洋撮影

プロ、社会人と採用側に与えた衝撃

 10月26日、プロ野球ドラフト会議が行われた。本来ならばプロ野球の将来を担う若者たちの晴れ舞台ともなる日、今年は直前に、名門・東海大学硬式野球部の複数の部員が大麻とみられる薬物を使用していた事件が発覚したため、関係者の間にはコロナ禍とは異なる重苦しい雰囲気が漂っていた。

 今年、東海大でプロ志望届を提出したのは3人。ドラフトの結果、東海大湘南キャンパスの山崎伊織選手(投手、体育学部4年)が読売ジャイアンツから2巡目で、付属の相模高校からは2人、札幌キャンパス硬式野球部出身者、海洋学部硬式野球部からも内野手1人がジャイアンツから育成で指名され、東海大関連で5人が指名されている。

 東海大は、9日に「硬式野球部員が大麻を使用している可能性がある」との匿名の通報を受け、学内調査委員会による調査を開始。聞き取りの結果、複数の部員が神奈川県平塚市の寮で大麻を使用したと認め、大学側は無期限の活動停止、首都大秋季リーグ戦の参加辞退の処分を科した。

 ドラフトを前に、在京の大学野球部関係者は、名門大学で起きた大麻事件の影響について「プロ、社会人両方の関係者の方々から、そちら(野球部)は大丈夫なのか? 東海大の複数、とは何人なのか、名前は? 出身校は判明しているかといった、踏み込んだ問い合わせが何件もありました。プロだけではなく、社会人野球に行く選手たちにも、企業から問い合わせがあったようです」と明かした。

 プロばかりでなく、社会人野球の強豪といわれる企業も同様に混乱した。来春の採用が決まっている複数の学生が「自分は関係ない」と、わざわざ潔白を伝えに来たが、企業側にとって「寮生活で起きた薬物汚染」は、いくら他大学といえ「はい、分かりました」で済む話ではない。対応に苦慮しており、今後はいわゆる「身体検査」に、薬物検査を含む事態も想定されるという。「企業のイメージにもかかわる。深刻な事件」と、関係者は明かす。

 むろん、高校から進学する場合にも、新たな判断基準が求められるはずだ。どんな有力校でも薬物問題の発覚で、高校側、親が大学野球部を敬遠する傾向になるかもしれない。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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