メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

加藤浩次氏の発言が番組を左右する「スッキリ」のコロナ報道

川本裕司 朝日新聞記者

拡大日本テレビ「スッキリ」で司会を務めている加藤浩次氏=2019年8月9日、日本テレビから

 新型コロナ感染で政府が緊急事態宣言を出してから約7カ月。いまもコロナ報道は続くが、大きく取り上げてきたテレビのワイドショーでは番組によって切り込み方が違っている。日本テレビ系の「スッキリ」では、司会を務める加藤浩次氏が主張する持論にコメンテーターが同意する展開が目立っている。フジテレビ「とくダネ!」の小倉智昭氏や「バイキング」の坂上忍氏、TBS「グッとラック!」の立川志らく氏ら、自らの意見を積極的に述べる司会者はいるが、番組の構成を左右する発言が際立つのが「スッキリ」の加藤氏だ。

「代理賞罰機能」を前面に出した加藤氏の司会

 ワイドショーのキャスターやコメンテーターの発言機能について、成城大教授だった川上善郎氏と石山玲子氏がまとめた論考(2007年)がある。それによると、視聴者に対する機能として、ある出来事に対し善悪を判定する「代理賞罰機能」、視聴者の感情をあおる「情動増幅機能」、視聴者に代わって感情を表現する「代理感情表出機能」がある、と指摘する。

 加藤氏の司会については、代理賞罰機能を前面に出した例が目立つように、筆者には思えた。

 10月5日には、「マスク不着用の方お断り」の広島県尾道市のギョーザ店に、マスクをしていなかった知人を含め3人で入店した堀江貴文氏がマスク着用についてのやり取りをめぐるトラブルを9月22日にSNSで公表したあと、嫌がらせ電話が相次いで休店となった一件が取り上げられた。

 加藤氏は「お店は断ることもできる。堀江さんも文句を言っても入らなければいい話」と言うと、コメンテーターのタレント榊原郁恵氏は「お店のルールだったら理解して入るべき」、サブ司会者の近藤春菜氏も「あとから(SNSに)書くのもいかがなものか」と続いた。

 8月25日の放送では、東京都世田谷区が約4億円をかけ介護施設や保育所、幼稚園の職員ら約2万人にクラスター(感染者集団)化対策としてPCR検査をすることに対し、結果が出るまでに時間がかかるという専門家の意見を踏まえ、「それだけかかるなら全く意味がないと思う」と持論を展開した、とスポーツ紙などで報じられた。

 世田谷区は複数人の検体を混ぜまとめて検査する「プール方式」を導入。検査結果で出るまでに「2、3日とはいかない」との指摘を受け、加藤氏は「3、4日以上かかるなら、結果が出るまでの4日でかかる可能性がある。感染したあとに陰性が出て何の意味があるのか」と疑問を呈したという。

 緊急事態宣言が出されたあと朝のワイドショーでは、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」のコメンテーターやゲストがPCR検査の拡充を訴えていたのに対し、「スッキリ」では逆の立場からの発言が目立っていた。

 例えば、5月8日の放送では、加藤氏が「日本は死者数が少なくすんでいます」と述べたあと、

・・・ログインして読む
(残り:約828文字/本文:約2003文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞記者

朝日新聞記者。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを歴任。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

川本裕司の記事

もっと見る