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コロナ禍で初の体操国際競技会 東京五輪に示した収穫と課題

増島みどり スポーツライター

拡大体操の国際大会「友情と絆の大会」で鉄棒の演技をする内村航平=代表撮影

久々の舞台に、レジェンドが‘めちゃくちゃ楽しかった’と歓喜

 11月8日、東京・代々木第一体育館で日本、アメリカ、中国、ロシア4カ国による体操の国際競技会「友情と絆の大会」が行われた。コロナ禍で初めて実施される国際競技会で、延期された来年のオリンピック・パラリンピック開催に向け、新型コロナウイルス感染対策を万全に整備したひとつのモデルケースとして、国内外でも注目を集めた。

 4カ国から30人の選手が2チームに分かれて演技を行う方式で、日本からは、肩の負傷で6種目を競う個人総合から、鉄棒のスペシャリストとして五輪を狙う内村航平(31=リンガーハット)も出場。2000人の観客の前で、試合で成功させているのは数人というH難度の技「ブレトシュナイダー」(コバチ2回ひねり)を初めて競技会で成功させ、15.200と高得点でチームの優勝を後押しした。

 内村の国際大会出場は18年ドーハ世界選手権以来実に2年ぶりで、ポディウム(体操の舞台)に立ち、アップし、鉄棒ではガッツポーズを連続。さらに自分の演技に集中するだけではなく、昨年の男子個人総合優勝を果たしたロシアのニキータ・ナゴルニーらの演技を注意深く見つめ、大きな拍手を送り、それぞれに話しかける様子には、通常の試合とは異なる喜びが溢れているようだった。

 「めちゃくちゃ楽しかったです」

 試合後、百戦錬磨の内村が会場内に向かって発した率直なコメントに、これが五輪につながるかどうかとは別の次元にある、国際競技会の真の価値、選手にとって試合に出場する意味が凝縮されていた。

 選手よりオリンピックを意識し、喜んだのは、会場中央のVIP席に並んだ重鎮たちだったのかもしれない。

 東京オリンピック組織委員会・森喜朗会長、同・武藤敏郎事務総長、萩生田光一文科大臣、橋本聖子五輪担当大臣、JOC(日本オリンピック委員会)山下泰裕会長が揃い、開会式にはIOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長もビデオメッセージを寄せた。

 「感染対策の制限がある中でも大会を安全に開催できることを示す例になる。スポーツ界全体にとって非常に重要なシグナルで、特に東京オリンピックの準備を行ううえで自信を与えてくれる大会になるだろう」

 様々なニュアンスが含まれている言い回しのように聞こえたが、非常に近い関係とされるFIG(国際体操連盟)渡辺守成会長(IOC委員)を称え、五輪成功のカギと位置付けた。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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