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負けを認めないトランプ氏に、誰が「退場」を告げられるのか

「尊厳も公正さ」も存在しないホワイトハウス

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

 ニューヨーク時間の11月7日土曜日午前11時過ぎ、通りから人々の大きな歓声が聞こえてきた。続いて車のクラクション、各アパートメントの窓から人々が身を乗り出して鍋などを叩く音。歓声は、ますます大きくなっていく。マスク姿で抱き合う人々の姿も見えた。

 ジョー・バイデン大統領候補の当選が確実になった瞬間だった。

観光名所のタイムズスクエアに集まり、バイデン氏の当選を喜ぶ人たち=2020年11月7日午後1時34分、ニューヨーク
拡大観光名所のタイムズスクエアに集まり、バイデン氏の当選を喜ぶ人たち=2020年11月7日、ニューヨーク

 アメリカの中でも多様な民族を抱えるニューヨーク市は、圧倒的にリベラルが強い。人々の教育レベルの平均値も高く、大きなLGBTQコミュニティなど、多様性のある文化背景がある。そんなニューヨーカーの間では、新型コロナウイルスを軽視し、白人至上主義を公然と庇い、ホワイトハウスを私物化してきたトランプ大統領に対する批判の声は、街に満ち溢れていた。

 「今回の選挙の主要な争点は、共和党と民主党の政策の違いではなかった」と説明するのは、医療関係に従事する50代の白人男性である。

 「アメリカが、尊厳と公正さを取り戻せるかどうかの闘いだったんです」

 だが少なくともトランプ氏と共和党の一部にとっては、まだ闘いは終わっていない。


筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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