メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

縄張りを越えろ――記者とは「野蛮」な稼業のはずだった

[2]権力が「報道倫理の厳守」を申し渡す倒錯した時代に

阿部岳 沖縄タイムス記者

怒号と気迫が満ちた会場

 3月14日午後6時。会見室に安倍首相が胸を反らせて入ってくる。菅義偉官房長官ら、居並ぶ高官が頭を垂れる。冒頭発言の原稿朗読が始まった。

 私の席からは、安倍首相の顔がちょうどプロンプターの透明板越しに見える。安倍首相は透明板に表示される原稿を凝視している。安倍首相と私の視線は直線上で交わっているが、目は微妙に合っていない。

 肝心の内容も空疎だ。言葉が踊るばかりで、具体策がない。初めての首相会見取材だというのに緊張が緩み、意識しないと集中力を維持できない。

 官邸報道室は、記者クラブに会見全体の時間を「20分程度」と知らせていた。それを超える21分間、冒頭発言の原稿を一方的に読み続けた。そのこと自体、後に続く質疑の軽視を裏付けている。私は会見のあり方について、心の中で質問を準備した。

・・・ログインして読む
(残り:約3218文字/本文:約6025文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

阿部岳

阿部岳(あべ・たかし) 沖縄タイムス記者

1974年、東京都生まれ。名護市辺野古の新基地建設や差別の問題を中心に取材する。東村高江のヘリパッド建設を追った『ルポ沖縄 国家の暴力――米軍新基地建設と「高江165日」の真実』(朝日新聞出版)で第6回日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞。他の著書に『観光再生――「テロ」からの出発』(沖縄タイムス社)、共著に『沖縄・基地白書――米軍と隣り合う日々』(高文研)

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです