正規雇用が前提の旧態依然な失業給付制度は、非正規雇用のニーズに全く適していない
2020年11月23日
NHKのウェブサイトに、勤めていた居酒屋が閉店し失業したパートタイマー女性のニュースが掲載され、話題になっていた(「閉店でも「自己都合」? 追い詰められる非正規労働者」)。
女性は別店舗での勤務を打診されたが、自宅から遠く、シフトも大幅に減ってしまうことから退社した。女性は失業給付を受けようとしたが、自己都合退社ということになっていたことから、失業給付の受給を受けることができなかったという話である。
失業給付は職を失った労働者に支払われる給付金である。
会社都合による退社の場合は7日の待機期間の後にすぐに受給することができるが、自己都合による退社の場合は待機期間の他、2カ月の給付制限期間があり、その後でないと給付を受け取れない。
また、自己都合退社の場合は給付の期間も短いなど、様々な制限が付くことから、自己都合退社にされてしまうと労働者が極めて不利益な状況に置かれてしまう。
今回の女性の場合は「勤務店舗の閉店」というハッキリと会社都合の理由から勤務条件が大幅に変化し、退社せざるを得ない状況に置かれているのだから、会社都合での退社にしてもらえばいいと思うだろう。
しかし、会社はできるだけ「会社都合の退社」ということにしたくない。理由は雇用関連の助成金を会社が受け取れなくなるなど、様々な制限が付いてしまうからである。
労働者は会社都合退社にした方が有利、企業は自己都合退社にした方が有利という中で、企業がパートタイマーに自己都合退社として辞めさせるのは、大して難しくはない。退社を指示しながら退職届に「一身上の都合により」と書かせて既成事実を作ったり、シフトを大幅に減らすなど、希望条件からかけ離れた労働内容で、退社せざるを得ない状況に追い込んでしまえばいい。
パートタイマーは労働時間により賃金が大きく変わるので、自己都合退職に追い込むのは簡単である。それでいて企業自身は「雇用を維持しようとしているけれども、バイトが自己都合で退社しているのだから仕方ない」という体で雇用関連助成金を受け取っている。その関係性はとても労使が対等であるとは言い難い状況である。
ここで僕はふと少し前に話題になっていた件を思い出した。
自民党政権と懇意であり、菅政権下でもブレーンとして活躍する、経済学者の竹中平蔵氏が、10月30日に放送された「朝まで生テレビ」に出演した際に「正規雇用はほとんどクビを切れないので、非正規を増やさざるを得なかった」「クビを切れない社員なんて雇えない」と主張したのである。この発言は竹中嫌いの人たちによって盛んに批判されていた。
だが、竹中氏の発言は
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