コロナ禍で変容する学生の活動
2020年11月20日
筆者が所属している慶應義塾大学では、春学期中キャンパスが事実上ロックアウト(封鎖)されていた。それに伴う授業の「オンライン化」の実態については、たびたび拙稿でも取り上げたし、さまざまな議論がされていたように思われる。
一方で「オンライン化」の対象になったのは、授業やカウンセリング室だけではなく、サークル活動や「新歓」にまで及ぶ。本稿では、しばしば見過ごされがちである学生の活動がコロナ禍によって、いかに変容しているのかを伝え、問題を提起していきたい。
今月16日、大学当局から連絡が入った。例年11月下旬に開催されている大学祭について、実行委員会からの下記の案内を知らせてきたのである。
11月22日(日)から23日(祝・月)までの2日間、第62回三田祭は無観客・オンライン配信の形式で開催されます。(…中略…)今年はオンライン開催だからこそ、“誰でも”、“いつでも”、“どこからでも”三田祭に参加することができます。以下のURLより三田祭の視聴予約ができますので、チェックしてみてください
昨年、三田祭には約20万人もの来場者が訪れたとされる。その学祭も「オンライン化」されることになった。
ところで「オンライン学祭」といっても、イメージが湧きにくい読者の方も多いのではないだろうか。学祭のホームページが開設され、そこから各パフォーマンスの録画データや、ライブ動画をみることができるというものである。今までの学祭では、当然ながらキャンパス内に足を運ばない限り、展示を目にすることができなかったが、「オンライン学祭」では、インターネット環境さえあれば、誰もがその作品に「アクセス」することができるのである。
それを「学祭」と呼ぶかはさておき、筆者は「オンライン新歓」と同様の懸念があるように感じられる。確かに、学祭が「オンライン」化したとしても、もともと知名度の高いサークルが、ダンスのように「発表」に適した形態で行えば、通常の学祭での発表にそれなりに代替しうるものになるかもしれない。しかし、もともと知名度が低いサークルによる展示やパフォーマンスや、さらには強い「メッセージ性」がある作品を一方的に排除することになるのではないだろうか。
オンラインではない通常の学祭でも、「政治的」な展示が排除されるという事件があったという。
筆者は、2016年に慶應大に通っていたある男性(現在、大学院生)に話を聞いた。男性は、原一男監督のドキュメンタリー『ゆきゆきて、神軍』のオマージュ
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