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IOC会長の来日と国内の感染急拡大 東京五輪の理想と現実のかい離とは

増島みどり スポーツライター

唐突に表明されたワクチン接種とコスト負担に透けるあせり

 11月上旬、IOC委員でもある渡辺守成FIG(国際体操連盟)会長が主導して行われた「友情と絆の大会」は、選手、関係者らを感染者がいないと確認した状態で隔離する「バブル方式」で実施され、成功を収めた。米国、中国、ロシアの選手たちが母国で繰り返し検査を行ったうえで来日し、日本でも試合と練習以外は隔離が続いた。ただ1競技で約80人によるバブルは成功しても、これが1万人規模、国も観客も関係者も多種多様となった大会にそのまま適用するのは難しいだろう。

 IOCは今回、世界的には感染を抑え込んできた日本の国民感情に配慮して、「選手へのワクチン接種を推奨し、日本の皆さん、医療機関への負担をかけないよう約束する。もちろん接種しなければ参加できないのではなく、あくまでも推奨するものだ」(会長)と会見で表明。年内にも米国や英国で接種が可能になると見込まれるワクチンについて、各国での優先順位を尊重したうえで、選手に接種を推奨するとした。会見で突如明かされたワクチン接種の背景を、関係者は「(ワクチン接種の表明は)日本に対して、いかに敬意を表し、開催に感謝しているかを示す上で、重要な儀礼と考えたようだ」と分析する。バッハ会長は「各国NOC(国のオリンピック委員会、日本ならJOC)と相談の上、費用はIOCが負担する」とまで約束した。

 良いニュースに聞こえるが、理想と現実は異なる。ひとつは、

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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