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[48]コロナ禍の年末、生活保護行政に変化の兆し

必要な時に遠慮なく使える「普通」の制度に

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

水際作戦の根絶のために申請支援システムを開発

 役所の窓口で生活保護の相談に来た人を追い返したり、たらい回しにしたりすることは水際作戦と呼ばれているが、私たちはこの間、厚生労働省の保護課に対して、一部の自治体で依然として水際作戦が行われているという実態を伝え、その根絶を訴えてきた。

 この水際作戦を終わらせるため、私が代表理事を務める一般社団法人つくろい東京ファンドが独自に開発したのが、生活保護申請支援システム「フミダン」である。

拡大生活保護申請支援システム「フミダン」

 「フミダン」は、生活保護の申請を希望する人がオンライン上で必要事項を記入すれば、(1)申請書のPDFを作成することができ、(2)最寄りの自治体の福祉事務所のファクス機に申請書を送信することができるという機能を備えたウェブサイトである。

 (1)の機能を備えたサイトは12月15日から公開しており、(2)の機能についても東京23区限定で12月29日から来年1月3日までの役所の閉庁期間に試験運用を開始する予定である。

 私はこれまで27年間、路上生活者を中心に生活困窮者の生活保護申請の同行を行ってきた。同行した人数は3000人を超えるが、本来は私たちのような支援者が同行しなくても、生活に困っている方は一人でスムーズに申請できる状況になることが望ましいと考えている。

 生活保護における水際作戦とは、申請をしても却下をされることではなく、申請行為自体をさせないことである。

 通常、住民が住民票や印鑑証明などの公的書類を取得するために役所を訪れる場合、それらの手続きのための申請書は手に取れる場所に置いてあり、あらかじめ申請書に記入をした上で窓口に提出するという方法が一般的である。

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)、『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』(エディマン/新宿書房)、『生活保護から考える』(岩波新書)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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