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100回を迎えたサッカー天皇杯 コロナ禍での特別な重み

増島みどり スポーツライター

拡大前半、攻め上がる川崎の三笘(18)=伊藤進之介撮影

J1王者川崎とJ3で圧勝した秋田、100回大会の意味ある一戦

 12月27日、J1川崎のホーム、等々力陸上競技場には、新型コロナウイルス感染拡大が収束しない中にもかかわらず9772人が足を運んだ。まだ手にしていないタイトル「天皇杯」獲得へ、川崎は今年最後のホーム戦に、J3秋田を迎えた。J1最速優勝(4節を残しての優勝決定)、最多勝ち点(83)、最多得点(88点)、また年間表彰式ではこれも初となる1チームから9人がベストイレブン(優秀選手賞)に選出されるなど、数々の記録を打ち立てている。

 一方秋田も、J3開幕で首位に立つと、そのまま一度も首位を譲らず、28戦負けなし(20勝8分け)の強さで独走態勢を構築。シーズン21勝10分3敗で3年ぶり2度目の優勝と、悲願のJ2初昇格を果たしたばかり。J3王者とJ1王者の準決勝対決は、今年、コロナ禍で実施された試合形式の大幅な変更なくしては実現しなかっただろう。

 シーズンを、リーグ最少の18失点で勝ち抜いた堅守で好機を見出そうとする秋田に対し、川崎は最多得点の攻撃力を発揮し前・後半1点ずつを奪って2-0で決着を付けた。敗れはしたが、秋田の吉田謙監督は、初の4強進出と困難な1年を振り返って欲しいと質問されると、感極まったように「言葉では表現できない」とだけ答えた。

 J1で圧勝した川崎といえども、リーグ戦とは違うトーナメント方式で、野心あふれるJ3クラブと対戦する試合は難しかったようだ。

 MF大島僚太は「秋田を決して侮ることなく、集中力を切らさずに試合をしよう、と鬼木監督と選手全員、慎重に臨んだ」と話す。天皇杯初優勝を狙う川崎にも、来季初のJ2で戦う秋田にも、将来へ残す貴重な90分となった。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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