メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

コロナ禍の真っ只中に大規模災害が発生したら……

古本尚樹 防災・危機管理アドバイザー

コロナ禍と避難所

 こうした課題に加え、新型コロナへの感染を防ぐ対応も必要となった。避難所ではいわゆる3密回避のために、2メートル間隔にスペースを確保し、避難世帯ごとに仕切りを設けた。避難所では検温を実施し、マスクも配布した。熊本県人吉市の避難所では、発熱やせきが止まらない避難者を別部屋に移した。

拡大熊本県人吉市の避難所。新型コロナウイルス感染防止のため住民同士が距離を約2メートル空けるようにしていた=2020年7月4日

 当初想定の避難所のキャパシティ(1500人程度)も、先述の3密回避のため半分程度の収容に制限され、別の避難所へ移動を余儀なくされる住民もいた。避難所が足りない場合に備えて行政が民間ホテル等を事前に確保したり、感染予防を優先して自宅での避難を促したりする必要もある。この時は真夏の猛暑下だった。衛生状態を良くして避難者の感染を防ぐ配慮が欠かせない。

 内閣府は各自治体に対し、コロナ禍での避難所について次のように通知している。➀せきエチケット、こまめな手洗いを徹底②洗剤を使って避難所の物品などを定期的に清掃し衛生環境を確保③避難所内では十分な換気に努め、十分な避難スペースを確保④発熱やせきなど症状が出た人専用スペースの確保⑤(コロナの)症状が出た人は可能な限り個室にし、専用トイレを確保することが望ましい。一般避難者とはゾーンや導線を分ける。

 自治体は非常食や水などの避難生活に必要な物資を備蓄しているが、マスク、消毒液、スリッパといった感染対策に必要な物資は不足しているところが多い。避難時にはこうした衛生用品を持参するのが賢明だ。

 指定避難所へ避難するのではなく、在宅での避難も考慮すべきである。先述のように自宅が浸水する恐れがある時や、地震で倒壊する危険がある時は、避けなければならない。自治体はホテル・旅館などの活用、国の研修所や宿泊施設等の利用、親戚や知人宅への避難を促すとともに、普段から住民に対して災害時の避難先について考えるよう注意喚起することが重要だ。

コロナ禍とボランティア

 一方、自宅療養者の避難はNPOなどボランティアとの連携が重要になるが、新型コロナ禍のなかではボランティアの活用は難しい。昨年の「7月豪雨」では、高齢者宅を中心とした土砂の片付け作業等のためボランティアを募集したものの、大規模な募集を避け、県内在住の者に限定した。

・・・ログインして読む
(残り:約1326文字/本文:約3188文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

古本尚樹

古本尚樹(ふるもと・なおき) 防災・危機管理アドバイザー

1968年生まれ。札幌市在住。  札幌光星高等学校普通科卒業、北海道大学教育学部教育学科教育計画専攻卒業、北海道大学大学院教育学研究科教育福祉専攻修士課程修了、北海道大学大学院医学研究科社会医学専攻地域家庭医療学講座プライマリ・ケア医学分野(医療システム学)博士課程修了 博士【医学】、東京大学大学院医学系研究科外科学専攻救急医学分野医学博士課程中退(以上、学歴)  浜松医科大学医学部医学科地域医療学講座特任助教、東京大学医学部附属病院救急部特任研究員、公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター研究部主任研究員、熊本大学大学院自然科学研究科附属減災型社会システム実践研究教育センター特任准教授、公益財団法人地震予知総合研究振興会東濃地震科学研究所主任研究員を経て、現在は防災・危機管理アドバイザー。専門分野は新型コロナウィルス対策(特に住民・自治体・企業対策、また企業の従業員健康や雇用への対策、企業業務継続計画[BCP]、経済との関係等)、企業危機管理、災害医療、自然災害における防災対策・被災者の健康問題等。銀行や自治体等の人材育成にも携わっている。西日本放送(香川県)と信越放送(長野県)でラジオコメンテイター。ホームページはhttps://naokino.jimdofree.com/

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

古本尚樹の記事

もっと見る