2度目のオリンピックイヤー幕開け
五輪延期にもパワーアップし走りを見せたマラソン代表
増島みどり スポーツライター
2021年元日の全日本実業団対抗駅伝「ニューイヤー駅伝」(群馬県庁発着7区間100キロ)に、東京オリンピックマラソン代表の中村匠吾(28=富士通)と服部勇馬(27=トヨタ自動車)が出場した。2人はともに、19年9月、日本陸上連盟が初めて実施した選考方式「マラソン・グランドチャンピオンシップ」(以下MGC)で上位2位に入り代表の座を獲得している。
〝走り初め〟に込めた思い

ニューイヤー駅伝、4区で集団を抜け出す富士通の中村(右端)=2021年1月1日、群馬県太田市 毎日新聞代表撮影
エースが集結する4区(22.4キロ)を任された中村は、2位集団でタスキを受けると12キロ地点でトップを捕えて首位に立って5区へとつないだ。区間2位の好記録に加え、富士通12年ぶり3回目の優勝に貢献。勝負どころを冷静に判断し、19キロからは長いスパートをかけて後続を振り切る。こうした持ち味をも十分に発揮したレース展開で、復調ぶりをアピールした。
レース後、「普段通り、そしてプラン通りの走りができたと思う。自分の頑張りで順位が決まると考え、余裕があった15キロ過ぎから2位に差を付けて次につなげられた。この走りをオリンピックまでつなげたい」と、手応えと同時に、2度目のオリンピックイヤーに強い思いを込めた。駅伝での好走を自信にびわ湖マラソン(2月28日)に出場する。
20年12月の福岡国際マラソンを右ふくらはぎを痛めて欠場した服部も、充実したレース内容で21年のスタートを切った。
5区(15.8キロ)4位でスタートすると、強化したスピードを生かして中村につけられた富士通との差を15秒短縮して3位に浮上。46分23秒で自身2年ぶりとなる区間賞をものにした。「2年ぶりの区間賞はうれしい。スタート直後からきつかったが、こういう時には粘りの走りをして行こうと思った」とレース後話し、満足そうな表情を浮かべた。
昨年12月には、長距離種目の東京五輪代表を決める日本選手権が行われ(大阪)、マラソン代表で、2時間5分29秒の日本記録保持者の大迫傑(29=ナイキ)も1万メートルに出場し、実に7年ぶりとなる自己新(27分36秒93)をマークするなどスピードの強化を印象づけた。