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コロナ禍による困窮者急増があらわにした「公助」が貧弱な日本の実態

貸付が中心の政府の対応には限界。生活保護の利用も増えず。国は手厚い支援に乗り出せ

岡田幹治 ジャーナリスト

貸付が主な政府の対応

 このような生活困窮者に対して政府はどんな支援をしているか。

 コロナ禍での個人や世帯に対する直接的な生活支援としては、2020年度第1次補正予算で総額13兆円が計上された10万円の「特別定額給付金」が注目を集めた。これはコロナ禍で大儲けした人にまで支給される一方、住民登録をしていないホームレスの人たちには支給されない。

 生活困窮者支援に関する政府の対応は、既存の制度の要件緩和が中心で、主なものは「総合支援資金」と「緊急小口資金」という生活福祉資金の貸付制度と「住宅確保給付金」だ。企業やその従業員への支援が第2次補正予算で11兆6000億円も用意されたのに比べ、きわめて小規模といえる。

 このうち総合支援資金は、生活再建に必要な資金を、2人以上の世帯なら月20万円まで原則3カ月、無利子・無担保で貸す制度だ(3カ月で60万円まで借りられる)。これについて政府はコロナ禍で減収になった人も対象にする特例措置を実施している。

 また緊急小口資金は、一時的な資金が必要な人に最大10万円を無利子・無担保で貸す制度で、上限を20万円にするなどの特例措置が取られている。

貸付額は桁違いに増加

 生活に困った人たちは、利用要件が緩和された二つの貸付に走った。

 全国社会福祉協議会(全社協)のまとめでは、総合支援資金の融資決定件数は昨年3月から12月19日までに約52万件、融資金額は約3853億円に達した。これまでの最高だったリーマン・ショック後の2010年度が約4万1000件、262億円だったのに比べ、件数で12倍、金額で14倍になっている。

 また緊急小口資金は約86万件、約1581億円だった。いずれも12月になっても一週間当たり8000件程度の申請があり、収まる様子はないという。

 一方、住宅確保給付金は、離職者・廃業者を対象とした家賃補助の仕組みで、原則3カ月(最長9カ月)、家賃相当額を自治体から家主に支給する。これについて政府は「休業などで収入が減少した人」に対象を広げ、「ハローワークへの求職申し込みをしないでもよい」などと要件を緩和した。

 この結果、利用者が昨年4月以降に急増した。支給額は昨年1~3月が月5500万円程度だったのが、6月には34億円にもなった。

拡大東京都社会福祉協議会が用意した総合支援資金の申請書類。

政府の対応には問題が少なくない

 以上のような政府の対応には問題が少なくない。

 問題の第一は、支援の中心が現金給付でなく貸付であることだ。

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筆者

岡田幹治

岡田幹治(おかだ・もとはる) ジャーナリスト

1940年、新潟県高田市(現・上越市)生まれ。一橋大学社会学部卒業。朝日新聞社でワシントン特派員、論説委員などを務めて定年退社。『週刊金曜日』編集長の後、フリーに。近著に『香害 そのニオイから身を守るには』(金曜日)、『ミツバチ大量死は警告する』(集英社新書)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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