卒業時の景気が生涯を左右――苦難の連鎖・不遇がいまも続く不条理
2021年01月19日
就職氷河期世代向けの試験に合格した40代の市職員2人に話を聞いて気づかされたのは、就職時の景気動向が一生を左右する運不運と再チャレンジの機会の重要さだった。
大阪府河内長野市保険医療課の奥野学さん(47)は35~50歳を対象にした市の採用試験で昨年8月に合格、10月から正職員として働いている。それまで16年半は同じ課で非正規の職員だった。
奥野さんは景気後退期だった1995年に私立大の外国語学部を卒業、約100社にエントリーシートを出した末、会社訪問解禁後に募集があった大手スーパーに就職できた。しかし、業績が悪化する勤務先を4年10カ月で辞め実家に戻った。派遣社員を半年したあとは無職となり、実家にこもっていた。
広報紙で見つけた地元・河内長野市の嘱託職員に応募、国民健康保険の徴収・収納を担当する非正規の職員になった。
奥野さんが就職氷河期採用試験で52.8倍の難関を突破し5人の事務職に合格したとき、「更新されない将来への不安がなくなったこと」が何物にも代えがたかったという。
3学年上の姉は大学卒業時に苦労する様子もなく就職できた。振り返ると、正社員に応募しようとしても、採用の上限年齢がいつも自分自身より下だった。今回の採用試験に自信はなかったが、「人生最後のチャンス」と覚悟
有料会員の方はログインページに進み、デジタル版のIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞社の言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください