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[49]底が抜けた貧困、届かぬ公助~コロナ禍の年越し炊き出し会場の異変

生活保護利用を阻害する「扶養照会」をやめてください

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

行政窓口の年末年始対応が実現 支援の力に

拡大今年の「年越し大人食堂」にあわせて開かれた生活・労働・医療・法律についての相談会。深刻な内容が多かった
 お弁当が配布されている会場の隣のホールで開催された生活・労働・医療・法律に関する相談会にも、元旦に45人、3日に72人もの方が相談に訪れた。相談会でも、所持金がすでに尽きている、充分な食事も摂れていない等、深刻な内容の相談が多かった。

 コロナ禍の影響で貧困が拡大する中で年末年始を迎えるにあたり、厚生労働省は各自治体に対して、通常、閉庁期間となる年末年始も福祉の窓口を開けておくことを依頼していた。

拡大生活保護の相談窓口
 この呼びかけに応える形で、東京都内でも一部の区市が年末年始期間も日を決めて窓口を開けるという対応をおこなった。特に豊島区と江戸川区は、年末年始の6日間、休みなく窓口を開けて、生活保護の申請を受け付けたり、住まいのない人に東京都が用意したビジネスホテルを紹介したりという対応をしてくれた。

 一部の区が窓口を開けてくれたおかげで、年越し大人食堂等、年末年始に各支援団体が開催した相談会では、現場からすぐに行政の窓口に行き、公的支援につなげるという対応が可能になった。

 コロナ禍という特殊な状況とは言え、人々の命と生活を守るために、これらの自治体が積極的な対応をおこなったことは特筆すべきことである。こうした動きが来年度以降もぜひ広がってほしいと願っている。

生活保護の申請を避ける人々

 だが、ここでもネックになったのは、相談者の中に生活保護の申請を忌避する人が多いということであった。

 「生活保護だけは受けたくない。他に方法はないでしょうか」

 昨年春以降、生活困窮者支援の現場で、この言葉を何度聞いたであろうか。

 年末年始の活動でも、すでに住まいがなく、所持金が数十円、数百円しかないという状態の人から同じ言葉を聞かされる機会が多々あった。

拡大寒空の中、ストーブで暖をとりながら食料の配布を待つ人たち=2020年12月31日午後、東京都豊島区

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)、『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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