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学生の「メンタル」「困窮」は緊急事態! 支援策をいますぐに!

これ以上退学者を増やさぬよう、大学と政府は声を受け止めよ

田中駿介 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

 多くの大学では、試験や課題の提出時期を迎え、2020年度の学事日程が終わろうとしている。今年度、対面授業が中止され、図書館などの施設が使えない状態にあった。しかし、学事日程がほぼ終了したいま、学費や施設利用費の「満額請求」は、果たして正当なものだったのだろうか。

 春先以降一部の大学で、数万円程度の「通信費補助」(しかも申請主義を徹底し、対象者の絞り込みを徹底させた場合が多い)や、文科省の「『学びの継続』のための『学生支援緊急給付金』」をはじめ奨学金制度拡充がなされた。しかし、「学費」や「施設利用費」の返還に応じた大学はなかった。

 2回目の「緊急事態宣言」が発出されたなか、学生とりわけ1年生のメンタルと困窮状況も「緊急事態」なのである。

コロナ禍で「入寮不可」、うつ病に

 「秋学期、やっと対面授業が一部再開すると聞きましたが、体育の授業だけが対象でした。春学期はすべての授業がオンライン化され、外出ができず、鬱病の診断が下りました」

 こう話すのは、筑波大学1年の女子学生である。

 彼女は生活費を節約するため、大学の寮に入る予定で、昨年3月時点で手続きはすべて完了していた。しかし、大学入学を目前とした4月1日、突如「入寮不可」との通達を受けた。それまでは「4月6日以降は通学環境に身を置く」ことが求められてきた。5日前の突然の通達なのだった。

 しかし、本当の「地獄」が訪れたのは、その後のことだった。生活リズムが崩れ、午前中はベッドから起き上がることができなかった。課されるレポートの数が多く、どうしても睡眠時間が確保できなかったからだ。

 その結果、人生で初めてメンタルクリニックに通うことになった。医者からはうつ傾向にあるとの診断を受け、投薬治療が行われた。現在も通院は継続している。2回目の「緊急事態宣言」が発出されて以降、バイト先の飲食店は時短営業を余儀なくされ、シフトも大幅に減らされた。

 秋学期からは「対面授業」が再開して、一人暮らしを始めることができた。とはいえ、再開したのは「体育のみ」である。繰り返すが、これは体育大学ではなく総合大学での措置である。

食料現物支給に長蛇の列 それよりも金銭的援助を

食料を受け取る学生ら=2021年1月22日、茨城県つくば市の筑波大拡大食料を受け取る学生ら=2021年1月22日、茨城県つくば市の筑波大

 筑波大では、20トン分の食料が支援物資として「現物支給」された。たしかに、近隣の農家や企業からの寄付は、学生にとって「ありがたい」ものだろう。「反貧困」の活動を行っている、ある国立大の学生は「うちの大学は、学生応援のための施策として『学生応援動画』を公式サイトにアップしたが、実際の支援は乏しかったように感じる。それに比べたら、まだマシではないか」と話していた。

 しかし、「現物支給」よりも、金銭的援助のほうが重要だろう。アレルギーにより「食べられないもの」がある学生の声は届いたのだろうか。あるいは新型コロナウイルスへの感染を恐れ、外出を極力避けたい学生への配慮はあったのだろうか。疑問に感じざるを得ない。

 実際、彼女は「1時間半並んでも列が動かず、『密』

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筆者

田中駿介

田中駿介(たなかしゅんすけ) 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

1997年、北海道旭川市生まれ。かつて「土人部落」と呼ばれた地で中学時代を過ごし、社会問題に目覚める。高校時代、政治について考える勉強合宿を企画。専攻は政治学。慶大「小泉信三賞」、中央公論論文賞・優秀賞を受賞。twitter: @tanakashunsuk

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