安全な運用は確実に失敗への道であるがやはり琉花さんは間違えた
2021年01月31日
昨年12月に沖縄県中城村(なかぐすくそん)の公式観光大使としてデビューしたVTuberの「琉花(るか)」さん。彼女のTwitter投稿などが「女性軽視ではないか」として批判された(琉球新報1月23日配信「中城村公認Vチューバーが「性癖」ツイート 女性搾取と批判続出」)。
VTuberとは「バーチャルユーチューバー」、つまり動画投稿サイト「youTube」で活動する仮想キャラクターだ。報じられている記事では、VTuberの間で自己アピールのために流行っていたハッシュタグ「#私の容姿が性癖に刺さる人に届いてほしい」を用いた投稿に対して疑問の声が上がったという話になっている。
まずハッシュタグについてだが、これだけなら僕はセーフであると判定する。
そもそも性癖とは趣味嗜好のことであり、「性」という文字が入るからと言って性的な意味の言葉ではない。なので「私が可愛いと思う人に届いて欲しい」くらいの意味に訳することが可能だ。
だが一方で、言葉的に「性的に好み」のいう意味をどうしても含んでしまうし、実際にそういう意味で使われている場合も多い言葉なので、流行っていたハッシュタグとはいえ、村の観光大使が使うタグとしては好ましくはないと考えられる。
だが琉花さんの場合は、問題はそれだけではなかった。自分のリストに「大奥 可愛い女の子をぶちこむリスト」という名前を付けていた。大奥は将軍が女性を囲い込む場。そこに可愛い女の子をぶちこむという。まぁぶちこむ普通に「入れる」という意味を乱暴にしたものではあるが、大奥という言葉の意味を考えると、性的な意味にも取れてしまう。
そして彼女はこのリスト名を自らTwitterに投稿していた。先ほどのハッシュタグ使用と合わせて考えると「アウトとは言い難いけど、ちょっとこれはどうなの?」という疑問が浮かんでくる。
そして僕が一番の問題であると考えているのが、リスナー参加の麻雀配信のタイトルとして「わからせおじさん」というワードを使ってしまったことである。
「わからせおじさん」とは言葉を選ばずに明確に言えば「見下されていたおじさんが、自分のことをバカにしてくる少女を陵辱する」という二次元エロマンガジャンルを指す言葉である。陵辱される女の子は小学生くらいの容姿である場合が多い。
SNSには「わからせ」は麻雀の強さを分からせること。「おじさん」とは琉花さんが度々配信で自分をおじさんと称しているから。と擁護している人がいる。確かに「わからせ」自体はゲーム用語で、自分の強さを「わからせ」るというような使い方をされていた。
しかしそれはあまり良い意味の言葉ではなく、対戦ゲームなどで負けた相手に対して礼を欠く、死体蹴りなどの侮辱的な勝利アピールを指す言葉として使われている。だからゲーム用語としてもリスナーに対して「わからせ」とするのはあまり適切であるとは言えない。
初心者と楽しく麻雀を楽しむ配信という意味であれば「おじさんの強さをわからせる麻雀配信」などのもっと自然なワードでも良かったはずだ。それでも「わからせおじさん」ワードをわざわざ使ったのは、決して偶然の産物ではなく、本来の意味を知って使っていたとしか考えられないのである。
つまり、視聴者を引きつけるために、二次エロ界隈の人であれば理解できる、わからせおじさんというワードをあえて使うことで、性的な雰囲気をわざと匂わせているのである。
琉花さんの配信はアーカイブがないのでほとんど確認していないが、ツイートや配信タイトルからやっていることを推測するに、ユーザー数を稼いでいる配信者の特徴を上手く掴んでいると言える。
麻雀のような多くの人に知られたゲームの配信も、単なる雑談配信や歌を歌う配信も、そうやって視聴者数を稼いでいるVTuberがたくさんいることを知っているからのやり方だ。
悪く言えば凡庸な後追いであるが、まずは突飛なことをせず、実績のあるVTuberの配信内容を真似ることで、ある程度の視聴者層を集めるという意味では、マーケティングとしてはとても地道かつ、正しい姿勢と言える。
中には「麻雀や雑談ばかり」と批判する人もいるようだが、見る側の気持ちを考えれば、観光大使とはいえ村のアピールばかりをするVTuberを見ても、商売っ気しか感じないし、それを2度と見ようとも思わない。
中城村のアピールを前面に押し出す
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