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ストリップ劇場が日本から消える日~風俗を差別し、日陰に追いやるべきなのか

人生で初めて、私もそこに行ってみた

たかまつなな 時事YouTuber

「A級小倉劇場」の至るところに感謝状が飾られている=北九州市小倉北区拡大「A級小倉劇場」の至るところに感謝状が飾られている=北九州市小倉北区

支援しないと、こんなに問題が生じる

 性風俗店を対象外とした理由について、梶山弘志経済産業相は「社会通念上、公的支援による支援対象とすることに国民の理解が得られにくい」(2020年5月11日の参院予算委員会)と説明した。

 納税して法律を守っているのに、国民感情で払わないなんて職業差別ではないか。合理的理由を説明できないなら、憲法の平等原則に違反する「差別」になる可能性があるだろう。

 私も「株式会社 笑下村塾」という小さな会社を経営している。コロナで、数百万円の赤字が出た。持続化給付金で200万円貰え、金銭面はもちろんだが、精神的にも大きな救いになった。中小企業のなかには、持続化給付金ですくわれた事業者もたくさんいるだろう。ところが「国民の理解が得られにくい」と政府が説明するのでは、「私たちは国から見捨てられた」と性風俗事業者が感じても仕方ないと思う。

 そして事業者が経営を続けられなくなると、働いている女性を守れなくなる。

 今コロナでバイトをするのも大変な状況だ。私が取材した大学生は、学費を自分で払っているが、バイトができなくなり、風俗をはじめようとした。ところが、新しく働けるお店がなく、個人での売春をするか悩んでいた。

 もちろん、売春は禁止されている。学費を払えず売春せざるをえない状況に学生を追い込まないよう、奨学金などの制度を改善する必要がある。ただ、そうした改善がなされず、事業者も立ちゆかなくなれば、個人で売春する人たちが増えるだろう。それでは、客がルールを破ったときにSOSを求めることもできず、いっそう危険な状況に置かれるのではないか。

 「納税していない事業者が多いから当然」「反社会的勢力がかかわっているから仕方ない」という意見もあるようだが、持続化給付金の申請には確定申告書が必要であるし、反社会的勢力とのかかわりというなら、風俗事業者だけを槍玉にあげるのはおかしくないか。

 また、「感染リスクが高いから除外されて当然だ」という人もいるが、除外されている事業者の中には、客との接触をおさえられるストリップ劇場や、個室ビデオ店やアダルトグッズショップも入っている。風俗事業者をこのように差別することで、保健所への協力なども得られにくくなると、感染ルートなどをおえない可能性も高まってしまうだろう。

「自民党の全体の議論」の結果、除外された

 それなのになぜ、風俗事業者は除外されたのだろうか。感染リスクをおさえるうえでも、社会的に弱い立場の人を守るうえでもメリットが少ないのに、除外の意思決定をしたのか。

 持続化給付金の対象の見直しを訴えた立憲民主党の寺田学衆議院議員に電話で取材した。

 「ラブホテルの方から困っていると連絡をもらいました。中小企業庁の前田泰宏長官に直接連絡しましたが、難色を示されました。そこで、菅官房長官にお願いしたら、即座に動いて政府内をまとめました。しかし、どうやら与党プロセスで岸田政調会長が猛反発をしてなくなったらしいです。菅さんからお詫びの電話をもらいました。ラブホテルで働く人にも、1人1人が生活者であって、いろんな働き方をしている生活が岸田さんには想像できないんだろうなということでした。経産省としての建前は、間接的に聞いたところによると、成長産業でもないラブホテルにお金を出すのは、持続化給付金の理屈とは違うから難しいからみたいです」と話して下さった。

 岸田さんに取材の申し込みをしたところスケジュールの都合で断られたが、岸田さんが反対されたことが本当かということと、反対されたなら理由を教えてほしいとねばったところ、書面で回答をもらった。

 「性風俗産業が持続化給付金の対象から除外された件について、岸田個人が反対したというご指摘ですが、これは自民党の全体の議論として出た結果でございますので、お伝えいたします」ということだった。

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筆者

たかまつなな

たかまつなな(たかまつなな) 時事YouTuber

1993年生まれ。時事YouTuberとして、若者に社会問題を身近に伝える。若者と政治をつなぐため、株式会社笑下村塾を設立し、全国の学校へ「笑える!政治教育ショー」「笑って学ぶSDGs」などの出張授業を届けている。政治・教育現場を中心に取材をし、お笑いを通して社会問題を発信中。社会風刺ネタを寄席でやることもある。著書に『政治の絵本』『お笑い芸人と学ぶ13歳からのSDGs』。オンラインサロン「大人の社会科見学」で社会を変える仲間を募集中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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