「子供を作るため」でなければ、性はいかがわしいのか
自民党の中でどのようなプロセスがあり、反対に至ったかは分からない。
でも、私は、またかと思った。自民党の中にある、家族や結婚、性の捉え方が世間から乖離しすぎているのではないか。結婚している夫婦が子供を作るために、セックスをするのが道徳的に正しいとされ、それ以外の性行為や性的サービスはいかがわしいという偏見である。
先日、YouTubeの企画で、稲田朋美さんに取材したときも、自民党の価値観について聞いて驚いたことがある。「自民党でははっきり言う人と言わない人がいますが、結婚もしないで子どもを産んでいる女性は、ふしだらな人かキャリアウーマンなんだという前提があって、未婚のひとり親まで支援したら、わざわざ結婚しなくてもいいという人が出てきて、法律婚が壊れて、伝統的な家族も壊れるという理屈で考えられているんです」
稲田さんは、未婚のひとり親が、寡婦控除の対象外になっていることがおかしいと思い、今回全力で奔走し、自民党の中での障壁を上記のように話して下さった。
日本は性教育の後進国だ。望まぬ妊娠をして中絶する学生がいる。性教育をしていれば、その子たちを救える可能性がある。性教育をはやくはじめた方がいいというエビデンスがあるのに、このような古い価値観に縛られるから、本当に困っている人たちを救えない。
今回の除外について、性風俗事業者も反対の声をあげた。関西地方で性風俗店を運営する業者が、8月に、国を相手に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。憲法が定めた平等原則に違反するという理由だ。国がどのように説明するのか注目が集まっている。
厚生労働省が、子育てのために仕事を休まないといけない保護者に対しておこなったコロナ休業補償では、当初は風俗で働く人が対象外にされていたが、反対の声があがり、対象となった。厚生労働省と、経済産業省とでは、風俗で働く個人と事業者への対応が違っている。なぜ、違うのか私には理解できない。
日本からなくなる前に、ぜひ生で見て欲しい

初めてストリップ劇場を訪れた、たかまつななさん(筆者)=北九州市小倉北区
昭和の時代の最盛期、全国に300軒あったというストリップ劇場。今は、全国で約20軒ほどだ。
なぜそこまで少なくなったのか。過剰なサービスに走る劇場が出始めたことにより、1985年の風営法改正で警察の取り締まりが厳しくなり、性風俗サービスが多様化したことにより少なくなったのだ。
また、ストリップ劇場は風営法によって、学校や図書館などから200メートル以上離れていなくてはならないなど、新規開業が厳しく制限されているのだ。すでに存在しているストリップ劇場は「既得権」という権利により営業が認められている。今ある劇場を維持できないと、ストリップの文化は衰退することが予測される。
ストリップ劇場が、日本からなくなる前に、ぜひ生で見て欲しい。国から差別されるべき存在であるのか、「国民の理解が得られないから」と納税しているのに給付金がもらえないことが正しいのか、考えてほしい。
亀石倫子さん×たかまつななオンライン対談
「性風俗産業の差別を考える」
日時:2月18日(木)19時~20時30分
詳細:国が性風俗事業者を公的給付の対象外にしてきたことを「職業差別」として訴える活動をされてきた、刑事弁護人の亀石倫子さんと、たかまつななが対談。現状や課題などを深堀していきます。
参加方法:下記からオンラインサロンに入会していただいたのちに詳細を共有いたします。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/364646