鈴木貞夫(すずき・さだお) 名古屋市立大学大学院医学研究科教授(公衆衛生学分野)
1960年岐阜県生まれ。名古屋大学医学部卒業、名古屋大学大学院医学研究科博士課程修了(予防医学専攻)、Harvard School of Public Health修士課程修了(疫学方法論専攻)。愛知医科大学講師、Harvard School of Public Health 客員研究員などを経て現職。2006年、日本疫学会奨励賞受賞
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
疫学者が見た新型コロナとワクチン
承認されたワクチンが、どの国で実際に使用され、どの程度の効果を上げているかについては、公開データベースから知ることができる。欧米諸国の接種率は執筆時の最新データで、アメリカの9.3%がもっとも高く、次いでイギリス5.8%、スペイン2.5%、イタリア2.2%と続くが、まだエビデンスの蓄積がなく、現時点で効果について確定的なことは言えない。暫定的な現状であるが、接種率が39.3%と世界一高いイスラエルの例を紹介する。
図2にイスラエルのワクチン接種に関するグラフを示す。Aはワクチン接種率と実効再生産数の毎日の推移である。ワクチンはファイザー製で、接種は昨年12月20日から始まっているが、接種後約20日より実効再生産数は1.2を下回り、30日後には1.0を切っている。Bに示したワクチン接種率と実効再生産数の関連からも、接種率20%からの漸減傾向が読み取れる。Cのように縦軸を人口あたりの新規感染者数(7日移動平均)に変えると、接種率30%あたりから減少が始まっている。
以上のように、公開データからもワクチンの効果が読み取れるが、イスラエルは12月27日からロックダウンを並行して行っているので、その効果分が上乗せされており、ワクチン効果の過大評価の可能性もある。また
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