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たとえ東スポであろうと「ソースロンダリング」は許されない

不正確な高須院長のツイートをそのまま報じたメディアの責任

赤木智弘 フリーライター

高須院長のツイートは正確ではなかった

 では、大村知事が無効票に関して一切触れていないかといえば、そういうことでもない。

 その2日後である11月6日の記者会見で、大村知事は「実質的な署名活動や個別訪問などはほとんど行われていなかったと聞いております」「有効な署名がどれくらいあったかということが問われる」「有効なものはそう多くないのではないかと言う人もいる」と言っている。

 この発言は2つの意味にわかれている。

 1つは、署名活動や戸別訪問の少なさに触れ、少なくとも必要な87万人分もの署名を得られるような規模の活動はできていなかった様子を把握していることが見て取れる。これは4日にも話していた「票数」の話である。

 そしてもう1つが「有効票の数」に触れた内容である。リコール署名提出から2日経って、ある程度の事情が把握されつつあることが示唆されている。

 後者の発言から「無効票の多さをあらかじめ知っていたのではないか」と見ることは決して不可能ではない。ただし発言の中に「署名の8割は不正と選管から聞いている」に類するような、数字を挙げての発言はなく、またこの発言が署名提出から2日後という、すでに署名数の数え上げが始まっている時期のものである。

拡大愛知県庁前で大村秀章知事のリコールを訴える河村たかし・名古屋市長(左)と高須克弥氏=2020年8月25日、名古屋市

 このことから、大村知事が「誰も署名簿を見れない時期から無効票が多数存在していることを口にしていた」と判断するのはかなり無理があると言えよう。

 そもそも、署名に不正が多数あると最初に発信し始めたのは、リコールに反対する人たちや大村陣営からではない。それを発信し始めたのは、リコールの趣旨に賛同し、署名活動に手弁当で参加したボランティアたちである。

 高須氏が体調不良を理由に署名活動を休止した後に、運動を引き継いだ人たちが同じ筆跡の署名が多数あることを発見。12月4日に記者会見を行ったのである。「7、8割が不正署名」という驚きの数字が飛び出したのは、このときが最初である。

 この告発をきっかけに、愛知県選挙管理委員会がリコールの署名を精査。これにより「署名の8割以上に不正が疑われる」という実態が明るみに出てきて、現在に至るのである。

 と、以上のことから、少なくとも東スポの記事にある高須氏のツイート内容は、正確ではないと言うことが分かるのである。

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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