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菅さん、「困窮学生は退学しろ」「進学するな」って言うんですか?

若者の格差を放置する生活保護制度の見直しを求める

田中駿介 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

 「菅さん、『困窮学生は退学しろ』『進学するな』って言うんですか?」

 菅首相の発言を耳にした、率直な感想である。

 菅義偉首相は、1月27日の参院予算委員会で、コロナ禍で生活に苦しむ人たちへの対応を求められた際、「政府には最終的には生活保護という仕組み」があると述べた。

参院予算委で答弁する菅義偉首相=2021年1月27日拡大参院予算委で答弁する菅義偉首相=2021年1月27日

進学を想定していなかった生活保護制度

 もちろん、「生活保護」は重要なセーフティネットである。しかし、「困窮学生の支援」という観点からは不十分などころか、若者の格差を放置する原因になっているといえるだろう。

 そもそも、生活保護制度の根底には「暮らしに困っているのならば働け」という発想があり、「進学」を想定して設計されてこなかった。1970年までは、子どもが高校に進学する場合、親と一緒に暮らしていても「世帯分離」する必要があり、子どもは生活保護の対象から外れる仕組みだった。70年以降も、教育費に関する保障はなかった。高等学校等就学費として教育費が補助されるようになるのは、2005年のことである。

 大学進学の場合はどうか。いまだに、生活保護世帯の子どもが進学をするには、世帯分離が必要で、生活費や学費のすべてを自分で工面しなくてはならない。教育費が補助されることもないどころか、子どもが生活保護の対象から外れるため、親の世帯の保護費は減額されるのである。

 加えて、奨学金を借りることも条件とされている。確かに給付型奨学金や授業料減免等の制度が利用できる可能性はあれども、成績要件が課せられる場合も多く、必ずしも全員が利用可能なわけではない。総じて現在もなお、生活保護世帯の大学進学は困難を極めているのである。

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筆者

田中駿介

田中駿介(たなかしゅんすけ) 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

1997年、北海道旭川市生まれ。かつて「土人部落」と呼ばれた地で中学時代を過ごし、社会問題に目覚める。高校時代、政治について考える勉強合宿を企画。専攻は政治学。慶大「小泉信三賞」、中央公論論文賞・優秀賞を受賞。twitter: @tanakashunsuk

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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