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「新型コロナ関連法」改正で生活と経済はますます疲弊する

感染防止の効果を上げるどころかかえって妨げる罰則の導入

岡田幹治 ジャーナリスト

緊急事態に至らなくても私権制限が可能に

 第一の問題は、緊急事態宣言(以下、緊急事態)に至らない段階でも権利制限ができる「まん延防止等重点措置」(以下、まん延防止措置)が新設されたことだ。

 改正前の特措法では、緊急事態という非常時(有事)に限って国民の権利を制限する措置をとれることになっていた。これに対し改正特措法では、緊急事態に至らない状態でも私権制限ができるようにした。これがまん延防止措置だ。

 まん延防止措置は都道府県単位でも、市町村単位でも、一部の繁華街だけを対象にしても発令できる。発令されれば、都道府県知事が事業者に営業時間の変更などを命令でき、命令違反者には20万円以下の過料が科せられる。

 緊急事態とまん延防止措置はどこが違うかを、下のにまとめた。まん延防止措置が「ミニ緊急事態」であり「准・緊急事態」であることがわかる。

拡大

 まん延防止措置で知事はどんな措置を命令できるのか。2月9日に閣議決定された政令は、「施設内に手指の消毒設備を設置するよう事業者に促す」「発熱者やマスクをしない客の入場を禁止する」などを例示している。マスクをしない客の入場を許したら、店主は過料を科せられる可能性があるのだ。

拡大新型コロナウイルス対策で罰則を設ける法改正に抗議する日本弁護士連合会の関本喜文副会長(中央)ら=2021年1月22日、東京・霞が関

恣意的な運用ができるまん延防止措置

 今回の緊急事態が解除された場合、さっそく導入される可能性があるまん延防止措置には問題が多い。

 その一つが発令・終了条件のあいまいさだ。「感染が拡大するおそれが認められ」、「医療の提供に支障が生ずるおそれがあると認められる」ときに発令すると定められているが、おそれがあるかどうかは主観的な判断で決まる。

 また政府・都道府県・医師会などが医療体制を整備していれば、感染者が増えても医療に支障は出ないはずだが、その点は不問になっている。

 いつ終了するかについても、「実施する必要がなくなったと認めるときは(中略)終了」と定められているだけであり、法施行と合わせて改定された政府の基本的対処方針でも「総合的判断」となっている。

 まん延防止措置では、ほとんどが政府と都道府県の判断に委ねられており、恣意(しい)的な運用が可能になっている。行政にとってはとても使いやすい施策なので、安易に使われ、期間も長期化する可能性がある。

 緊急事態に至らない段階での予防的措置は、罰則つきの命令ではなく、強制力がない要請にとどめるべきだと、「緊急事態宣言に慎重な対応を求める有志の会」の弁護士グループは主張している(「緊急提言:緊急事態でなくても権利制限を認める法改正案は抜本的に修正すべきである」=note 1月22日)。

 以上のような内容のまん延防止措置は、憲法22条の「職業選択の自由」に含まれる「営業の自由」を過度に制約する可能性があり、必要以上に広範な権限を知事に与えている点で憲法違反の疑いがある。

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筆者

岡田幹治

岡田幹治(おかだ・もとはる) ジャーナリスト

1940年、新潟県高田市(現・上越市)生まれ。一橋大学社会学部卒業。朝日新聞社でワシントン特派員、論説委員などを務めて定年退社。『週刊金曜日』編集長の後、フリーに。近著に『香害 そのニオイから身を守るには』(金曜日)、『ミツバチ大量死は警告する』(集英社新書)など。

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