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ゲームのグローバル化はもう避けられない

あつ森の「旧正月」に怒るようなユーザーは、日本のゲーム業界の足かせになっていく

赤木智弘 フリーライター

 2020年3月20日に発売され、あと1カ月で発売一周年を迎えようとしているゲームソフト「あつまれどうぶつの森(あつ森)」。コロナ禍の気軽に外出できない社会情勢において、世界中で楽しまれているゲームである。

 あつ森ではそのゲームをプレイしている日時に合わせて、様々なイベントが行われるが、2月12日に行われた「旧正月」のイベントに対して、ネットなどで不満の声が上がったという。不満の声を挙げている人曰く「正月や豆まきイベントはなかったのに、日本人にとって馴染みのない中国のイベントである旧正月は祝うとは何事だ!」ということで怒っているらしい。

 では実際はどうだったのか。

豆まきに代わって旧正月が「小さなイベント」に

ニンテンドースイッチと「あつまれ どうぶつの森」

 あつ森のイベントは大きく2つに分けられる。

 特別なキャラクターが登場したり特別なギミックなどが仕掛けられている「大きなイベント」と、ギミックはないが、住民の挨拶がイベントに即したものに変化したりイベント時期専用のアイテムが買えるようになったりする「小さなイベント」だ。

 まず12月31日には大きなイベントである「カウントダウン」が行われた。

 そして新年になると住民が新年の挨拶をし、タヌキショッピングにはしめ飾りや門松、鏡餅といった新年のアイテムがならんだ。つまり正月は「小さなイベント」として行われたのである。

 一方で、あつ森の前作となる「とびだせ どうぶつの森(とび森)」では、節分に鬼の面を付けていると、住民から豆を投げてもらえるというギミックがあった。あつ森では鬼の面や鬼の衣装を買うことができ、「まめまきセット」を購入すれば自分で豆を投げることはできるものの、住民から豆を投げてもらえるというギミックはなくなっている。

 では問題の旧正月イベントはどういう内容だったかと言えば、住民の挨拶が旧正月仕様となり、ドア飾りやお年玉袋が購入できるという「小さなイベント」としての扱いであった。

 まとめると、とび森には無かった旧正月イベントがあつ森で追加された。内容としては正月イベントと同程度の「小さなイベント」であった。一方でとび森にはあった「豆まきイベント」はなくなったと言ってもいいだろう。

 つまり「豆まきイベントがなくなって旧正月イベントが追加された」と認識するのであれば間違いではないが、少なくとも「正月イベントはなかったのに、旧正月イベントが追加された」と認識するのは間違いである。

 では騒いでいたのはどのような人たちであったか。

 それはゲーム系で事実誤認をして大騒ぎする人たちと言えばお約束の「ゲーム系アフィブログに誘導された人たち」である。

 実際今回の騒ぎを取り上げたブログには必ずと言っていいほど「正月イベントはなかった」と書かれている。

 こうしたブログはアクセス数で広告収入を得るのが目的なので、たとえ不正確な情報であってもアクセス数が稼げると思えば平気で嘘をつく。特に今回は「旧正月」という中国で盛んなイベントであり「中韓憎し」のネットしぐさを持ち込むには格好の標的であったのだろう。

 しかし、旧正月は中国だけで祝われているわけではない。もちろん旧正月を祝う国の筆頭として確かに中国が挙げられるが、中国以外のアジア圏でも旧正月を祝う国は決して少なくない。日本でも沖縄では祝う風習が残っている。

 こうした文化の多様性を知ることができるのも、世界的に遊ばれているゲームの良いところである。そうしたゲームの良さをアクセス数稼ぎのために批判して潰そうとする人たちには困ったものである。

すでに日本はゲームの中心でもないし、ゲームの最大市場国でもない

 だが今回の騒ぎは、決して単純なネット上の「中韓憎し」の感情だけで起こったとは思わない。

 それだけではなく「日本のゲームなのだから、日本のイベントを優先するのは当たり前だ」という感情もあったのではないか。

 確かにあつ森は、日本のゲームメーカーである任天堂が自社のゲームハードに向けて作ったゲームである。しかし30年前くらいならともかく今やテレビゲームは世界中に広まり、世界中に多くのユーザーそしてクリエイターを生み出している。

 重厚長大なゲームはもはやアメリカやヨーロッパはもちろん、日本以外のアジア市場を視野にいれなければペイできなくなってきている。それは決して開発費がそこまで高くないゲームでも同じことである。市場が世界中に広まる中で、むざむざその市場を取りに行かないメーカーはない。

 日本は今なお、ゲーム市場において

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