コロナ禍での開催、圧倒的な不支持率、ジェンダー問題・・・
2021年02月20日
2月18日18時、発足7年目にして会長交代という事態に、新会長に就任した橋本聖子氏(56)が記者会見に臨んだ。
12日、女性を差別する発言で辞任した森喜朗会長(83)の後任候補を選出する「候補者検討委員会」(御手洗冨士夫座長含め8人=非公開)は最初の会合で、組織委員会発足7年目にして初めて、会長に求める「資質」5点を定め、これらを基本に、2回目で候補者の名前をあげ(御手洗会長は推薦者をあげなかったため)7人全員が橋本氏を候補者に推した。18日の3回目の会合で、御手洗氏が橋本氏の受諾の意向を確認して、評議会、理事会を経て、森会長の辞任から6日目、新会長が誕生した。
橋本氏は会見で立って頭を下げた後、「改めてみなさんにご挨拶をさせて頂く」と、「国民、都民のみなさん」「医療従事者のみなさん」「ボランティア、聖火ランナーのみなさん」「アスリートのみなさん」「スポーンサーの方がたへ」と、それぞれに思いを訴えるような内容で就任のあいさつを始めた。これまで森・前会長の際には、お願いや協調を訴えかける語り口はなく、橋本氏は、それほど濃くはないが、それでも彼女なりの「カラー」を打ち出したと見えた。
また、自身がスケート連盟会長だった日本スケート連盟会長(当時)で選手団団長を務めた2014年ソチ五輪閉会式後に選手村で開かれた打ち上げパーティーで酒に酔い、フィギュア男子代表の高橋大輔に抱きつき、キスをする写真が報じられた件を問われると、「軽率な行動について深く反省をしている。そういった一連の問題が出され、その当時も今も深く反省しておりまして、経緯を自分自身に受け止めながら会長職を全うすることでしっかりと多様性というもの、あらゆる問題に対してオリンピズムの原則、ムーブメントを着実に進めていくことが皆さま方にご理解いただけることになるかと思う。厳しい声は受け止めている」と話した。
説明調の会見ではあったが、森会長の辞任で引継ぎをせざるを得なかった「ジェンダー問題」について唯一「具体案」を提示した。
「組織委員会が世界、また国民に向けて行動を起こし、結果を出し続けることが重要だ」と、「(組織委員会の)女性理事の比率を40%にする」と、この日の就任会見中、唯一具体案を提示、今月中にはジェンダー問題の「タスクフォース」を立ち上げ現在の理事会(人数は34人、うち男性27、女性7)の構成を改編する〝公約〟を掲げた。
3月に予定される理事会を前に、会長は女性比率の向上について腹案を持っているようだ。現在34人の理事会の総数を増やし、その際に、女性理事の数を男性よりも増やせば、現在の20%の割合をあげられる。新理事会の顔ぶれは、森氏の辞任の経緯を考えれば、まずは店構えを象徴する重要な看板になるはずだ。
夏季五輪の歴史で組織委員会の会長に女性が着任した例は、2004年アテネ五輪以来16年ぶりとなる。女性、男性だけではなく、どのような立場の人物が会長に就任してきたのか、その変遷は五輪そのものの変遷、IOCとの関係を示すものでもある。
五輪が商業主義に大きく舵を切ったとされる1984年のロサンゼルスは、大手旅行代理店を経営していた実業家のピーター・ユベロス氏で、この年、経営手腕からMLBのコミッショナーにも就任した。五輪に初めて「ビジネス的手法」を導入し、選手村は大学の寮に、多くの経費を要したサポート関係者をボランティアにするなど経費の節減に取り組んだ。一方で放送権料、大会マスコット、大会エンブレムなどで
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