2021年02月23日
120年ぶりとも言われる大寒波に見舞われ、停電、断水など大被害の出たテキサス州。2月20日、バイデン大統領はテキサス州を含む南部への非常事態宣言に加えて、大規模災害宣言を行い、連邦政府からの大規模な援助を約束した。
テキサス州といえば言わずと知れた、保守派共和党多数のレッドステートである。11月の大統領選ではトランプ前大統領が勝利しただけでなく、12月にはテキサス州司法長官らがウィスコンシン、ペンシルヴェニアなど4つの州でのバイデン勝利の選挙結果は無効であるという、根拠不明の提訴を行った。連邦最高裁にあっさりと訴えを退けられたものの、大統領選の結果を覆そうと、最後まであがいた州でもある。
今のバイデン大統領の位置にいるのがトランプ氏だったなら、この大災害を絶好の復讐の機会に利用したであろう。最終的に援助を出すまでに、昨年(2020年)の春にニューヨーク州に対して行ったように、知事や市長を罵り、思う存分言葉でいたぶり、自分の権力と社会的影響力を心ゆくまで楽しんだに違いない。
だがバイデン大統領はかねて「私は自分に投票してくれた国民にも、しなかった国民にも、同じように仕えるつもりだ」と公言していた通り、恩に着せるような言動は一切見せず、あっさりとテキサスに援助の手を差し伸べた。
またニューヨーク州民主党下院議員のアレクサンドリア・オカシオ・コルテスは、テキサス救済基金を募って500万ドルを集め、近日中にテキサス入りして地元の民主党議員と協力し合い、必要物資を州民たちに配給する予定だという。
さてそんな中で、テキサス州の共和党の政治家たちは、何百万人もの州民が電力を失い、凍死の恐怖と戦っている間に何をしていたのだろうか。
2016年大統領予備選の共和党候補者でもあったテッド・クルーズ上院議員は、なんと2月17日水曜日に家族を引き連れてメキシコの高級リゾート、カンクンへ出発。しかもこの非常事態中に、地元の警察に空港での警護要請まで出していた。
クルーズ上院議員は共和党の中でもトランプを徹底的に支持する過激な発言で知られ、1月6日の連邦議事堂襲撃事件で、暴動の発生を挑発した責任者の一人としても名前を挙げられていた。また昨年8月にカリフォルニア州で電力不足による節電対策が必要になった際に、ツイッターで「カリフォルニアでは今や文明の基本である安定した電力すら供給できない。(中略)みんな、冷房が嫌いであることを願っているよ」と皮肉った。
そのクルーズが家族と一緒に、テキサスの停電被害者を後にしてヒューストン空港から出国する様子はたちまちニュースとなり、当然のごとくSNSでも大炎上の嵐となった。
2024年にはまた大統領選への出馬を狙っているといわれるクルーズ上院議員、あまりの非難の声の大きさに、さすがにまずいと気が付いたのだろう。翌日木曜日には、家族をリゾートに置いたままヒューストンへ戻ってきた。
クルーズ上院議員は当初「娘たちを送っていっただけ」と主張したものの、ユナイテッド航空が元々彼の戻りのチケットは土曜日であったことを認めると
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