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“寝技”を繰り出してくる権力。メディアに必要なのは「説明」と「連帯」

[4]記者が聞いたネタは読者に還元することが絶対の条件

阿部岳 沖縄タイムス記者

官邸の論理と一体化した官邸クラブの回答

 「『賭け麻雀』はそれ単独の問題ではなく、オフレコ取材での関係構築を重視するあまり、公人を甘やかし、情報公開の責任追及を怠ってきた結果です」。2020年7月、ジャーナリストや研究者が発表した「ジャーナリズム信頼回復のための6つの提言」も、旧来型の取材手法を厳しく指弾した。「取材の難しさ、情報源の秘匿の大切さを含め、可能な限り説明を尽くし、一般市民の信頼を得るための努力をしているか」と問うていた。

 提言は日本新聞協会に加盟する新聞、通信、放送129社の編集局長、報道局長に送った。しかし、7カ月たっても応答はない。各社はもごもごと内輪の事情を口にしながら、何とかやり過ごしてきたように映る。「権力取材はきれいごとでは済まない」「先輩も私も後輩も、みんな同じようにやってきた」――。

 今の幹部が現場にいた時代は、それで良かったかもしれない。取材過程が市民に見えていなかった。発信手段をメディアが独占していた。しかし時代は変わった。隠してもいずれはバレる。いつも誰かに見られている。文春やフライデーだけではない。誰もがカメラ付きのスマートフォンと、SNSという発信手段を持っている。

パンケーキを前に笑顔を見せる菅氏。2万5千件以上の「いいね」がついた=秋本真利衆院議員のツイッターから 202009拡大菅義偉首相の就任直後、「パンケーキ好き」というイメージが盛んに広がった=2020年9月、秋本真利衆院議員のツイッターから
 菅政権の発足直後、内閣記者会(官邸記者クラブ)の総理番を招く「パンケーキ懇談会」が話題となった。菅氏の好物を出す店で、オフレコ懇談をするという。この時点で、菅氏の正式な記者会見は就任当日9月16日の30分間だけ。数ある国政の課題について、開かれた場で説明をしていなかった。

 批判的な視線が集まる中、外部メディアから開催の事実関係について取材を受けた官邸クラブが何と答えたか。幹事社(当番制の連絡係)から常駐各社への報告にはこうあった。

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筆者

阿部岳

阿部岳(あべ・たかし) 沖縄タイムス記者

1974年、東京都生まれ。名護市辺野古の新基地建設や差別の問題を中心に取材する。東村高江のヘリパッド建設を追った『ルポ沖縄 国家の暴力――米軍新基地建設と「高江165日」の真実』(朝日新聞出版)で第6回日隅一雄・情報流通促進賞奨励賞。他の著書に『観光再生――「テロ」からの出発』(沖縄タイムス社)、共著に『沖縄・基地白書――米軍と隣り合う日々』(高文研)

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです