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現在の福島では甲状腺検査を継続することは正当化されない

見直しを行わない「不作為」がもたらすもの

緑川早苗 宮城学院女子大学教授/POFF(ぽーぽいフレンズふくしま)共同代表

被ばく影響の研究の裏にある不作為

 検査の途中から、「見守り」という目的とは別に、甲状腺検査には「放射線の健康影響の有無を明らかにする」ことが記載されるようになった。甲状腺評価部会はこの目的に対し甲状腺がんの多発見について、1巡目、2巡目の結果を「放射線の影響とは考えにくい」としている。

 一方で検査実施側からは「結論を得たわけではない」や「もう大丈夫と県民が理解できるだけのデータをまだ提供できていない」とし、検査の継続が報道されている。しかし、福島の住民の被ばく線量は、甲状腺がんの増加を検出できるほど多くなかったことが、事故後間もなくから多くの国際機関や研究者から報告されている。現在の甲状腺検査は、少ない放射線影響を検出するには疫学的には困難な方法であることも指摘されている。

 このような状況で放射線の健康影響の有無を明らかにするために、甲状腺検査を継続するのであれば、どのような解析方法で、どのくらいの期間を調査し、どういう結果が得られれば結論が得られるのかを、あらかじめ対象者に提示

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筆者

緑川早苗

緑川早苗(みどりかわ・さなえ) 宮城学院女子大学教授/POFF(ぽーぽいフレンズふくしま)共同代表

宮城学院女子大学教授(臨床医学)。福島県会津出身。1993年福島県立医科大学卒業後、内分泌代謝専門医として診療。2011年原発事故後に始まった甲状腺検査に初期には検査担当者として、その後検査の責任者の一人として関わる。検査方法に疑問を感じ検査の改革を目指したが実現せず、2020年3月末に福島医大を退職。甲状腺検査に対する住民の疑問と不安に対応するためのNPO(POFF)を立ち上げ活動を開始した。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです