赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター
1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
政府は口にした安全を守るための「覚悟」を国民に示す必要がある
原発という施設が孕んでいる問題というのは、単に危険性やリスクというだけの話ではない。一番重要な問題は、原発立地が都市と地方の経済格差によって決まってしまう点にある。
原発立地には「電源三法交付金」や土地の固定資産税、地域の人の雇用が生まれるなど、収入に悩む地方にとっては極めて大きな恩恵が与えられる。
かくして原発という迷惑施設は、お金をたくさん支出できる裕福な大都市と、収入に悩む地方都市という経済格差の上に建設されてしまう。大都市が大量発電のベネフィットを、地方都市が原発事故というリスクを一方的に引き受けざるを得ない。
僕は決して福島第一原子力発電所の安全対策が不十分だったとは思わないし、決してゼロリスクを求めるわけではないが、それでも事故に至る可能性を十分排除しきれなかったのは、やはり政治家たちにとっては「見知らぬ遠い土地の発電所のことである」と、どこか他人事だったからでは
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