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地に足の付いた自動運転の実証実験を、中止してはならぬ

すでに「夢見る未来の先端技術」ではない

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 さる3月5日のニュースで、新東名高速道路の十数kmの区間で、トラック3台に運転手1人で後続車運転席を無人とした隊列走行、いわゆるプラトーン走行、の実証に成功したと報じられた。また3月4日にはホンダが高速道路渋滞中の追走自動運転が可能な車、いわゆる自動運転レベル3のシステム搭載車、の販売を世界に先駆けて発表した。

拡大ホンダが発表した「手放し運転」機能が搭載された新型車。自動運転技術のレベル3を実現するため、前後のバンパーの下部には計五つのセンサー「ライダー」が、バックミラーの前にはカメラが設置されている=2021年3月4日、東京都港区

コロナ禍でも止まらない取り組み

 自動運転車の実現をめぐる一連の取り組みは、すでに政府各省庁横断・産学官連携でのロードマップが作られて久しく、人命の安全性に直結する技術基準と法制度の導入を前提に慎重に進められており、世の自称有識者がうかつに考えるような過激なイノベーションやらビジネスチャンスやらのイメージとは違う立ち位置で、もう20年以上もブレずに進められている。

 ブレーキアシストやレーンキープなどの個別車載機能はすでに自動車のオプション装備として売られてから10年以上がたっている。技術的に障壁となることがそうある現状ではなく、都度都度の実証実験も順調に実現している。

 3次元デジタル地図も含めた道路側のITインフラ整備、必要な機器を搭載した(当然少し価格の高い)自動車の国民的普及、クルマが自動で走っている日常風景に対する国民の幅広い直感的合意、万が一のときのための新しい法制度や保険への認知理解、などが順々に必要になり、その産官学取り組みイメージも論じられて(つまりタイミングを得て策が講じられる準備ができて)久しい。

 それらの取り組みは、コロナ禍で止まったり止めたりする性質のことでは本来ない。むしろ自動車交通と公共交通の両方の混雑緩和を実現するのだから、非接触、テレワーク、オンライン学習、などと同じ方向性の取り組みと言っていい。コロナ禍も1年がたち、自動車はじめ関係各産業側の経済的打撃も国際サプライチェーンの停滞と消費者の財布の引き締めは短期間だけで済んだ。自動運転の作り手担い手は、どちらかというとコロナ禍には強い。

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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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