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[51]横浜市の「水際作戦」を告発~生活保護の精神をないがしろにする自治体の現実

住まいをめぐり理不尽な行政対応が頻発。「当たり前の権利」と認識を

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

1年半で5自治体が謝罪。台東区は避難所への入所拒否

 数えてみると、私がこの1年半で自治体の抗議・申入れに参加し、責任者が謝罪したケースは、今回で5回目にのぼる。

 1回目は、1年半前の台東区への申入れである。

 2019年10月、大型の台風19号が関東地方を直撃した日、台東区の自主避難所で路上生活者が入所を拒否されるという事件が起こった。

 私たちは地元のホームレス支援団体とともに台東区に抗議し、台東区長は謝罪コメントを発表した。災害時に住まいのない人は避難所で受け入れないという区の方針の策定には、福祉事務所も関与していたことも明らかになった。

 台東区はその後、災害時に路上生活者を受け入れる避難所を設置するという方針を示している。

拡大自主避難所への路上生活者の入所拒否事件をめぐる台東区への申入れ=2019年10月

新宿区は一方的に支援打ち切り、87人を路上に追いやる

 2020年6月には、新宿区に申入れをおこなった。

 当時、緊急事態宣言の影響でネットカフェが休業になり、そこで寝泊まりをしていた人たちへの緊急支援策として、東京都がビジネスホテルの提供をおこなっていた。

 ビジネスホテルを活用した宿泊支援は、東京都の窓口だけでなく、各区の窓口でも受付が行われていたが、新宿区は独自の判断で5月末に宿泊の延長を打ち切り、87人を一方的にチェックアウトさせるという事件が発生した。

 この問題は宿泊支援を打ち切られて、路上生活に追いやられた人が私たちに相談をしたことで発覚し、私たちが抗議した結果、新宿区長は謝罪コメントを発表。新宿区福祉事務所は支援を打ち切った人々に個別に電話をして連絡をとり、連絡がついた人の宿泊支援は再開された。

拡大新宿区への抗議=2020年6月

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)、『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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