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Qアノンと日本発の匿名掲示板カルチャー【6】

サイバースペースにおける「言論の自由」の社会実験の失敗/下

清義明 ルポライター

「もっと過激にならないと掲示板に人が呼べない」

 「4chanが管理されなくなったために、ジムはもっと過激にならないと掲示板に人が呼べないと思ったのでしょう。それで、もっと過激に極端な差別主義者が集まる場所にしていこうとしたんです」とブレンナン氏は証言する。

 8chanのトップページに「ようこそ、ここがインターネットのもっとも暗い場所」とキャッチコピーをいれたのは、経営権ともども8chanがジム氏のものになったからだ。

 ジム氏は8chanを過激な自由放任主義のサイトとしてブランディングしながら、2ちゃんねる(5ちゃんねる)と同時にフィリピンから運営していた。

 「ひろゆきにはまったく評価できるところはないです。出来る男とも思わない。法律や警察をいかにして逃れるかだけを考えている印象です。決して本心をださずにのらりくらりとしていて、まるで政治家のようです。もともと匿名掲示板の管理人なんてまともな人がいるとは思わないし、ひろゆきもどうかと思うが、しかしジムはもっとひどい。日本の人は疑ってほしい」とブレンナン氏。

 そのブレンナン氏は、2020年に5ちゃんねるにジム氏への批判文を、日本人の翻訳者を介して書き込みをしている。それによると、ジム氏は極右の人種差別主義者で日本人が嫌いだということだ(「【5ちゃんねるの皆さんへ】ジム・ワトキンスがどれほど危険人物かお伝えします、フレデリック・ブレナンより」)。

 「ジムは自分がペリー提督であるかのように思ってます。日本人でもないのに、日本のインターネットをコントロールしていると考えている。日本を植民地だと思っています。「ジャップ」や「ニップ」といった差別語で日本人を呼んでいるのも聞いてきました。

 彼は日本人のビジネスパートナーもまったく信用していなかった。息子のロン・ワトキンスが日本にいるのも、日本人がうそをついて盗んでいると思い込んでいるからで、その監視のために送り込んでいるのです」

 ロン氏が現在札幌に在住していることは前述のとおりだ。これは日本での広告業務の代理店が札幌にあるからだ。さすがにこれだけはフィリピンからリモートで行うわけにはいかなかったらしい。

 日本を植民地だと思っているというのは、2012年にアップロードされたジム氏のyoutubeチャンネルでの日本の記者に対する問答からもうかがい知れる。彼は2ちゃんねるをめぐる日本の対応について話しているなかで、日本国憲法の表現の自由に言及し、唐突に、日本国憲法は「勝利者であるマッカーサーが書いた」「あなたがたが負けた側で、我々が憲法を書き上げた」と日本人の記者に主張している。米軍の退役軍人の本音なのだろうか。

 さらにブレンナン氏によれば、日本で2ちゃんねるにより右翼(ネット右翼)が増えたからアメリカでも同じようにしたいとジム氏が考えていたとのことだ。

 「ジム自身、白人民族主義的な右翼思想の病気なのです。そのため日本の2ちゃんが右翼的な影響を日本人に与えたのと同じようなことをしたかった

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筆者

清義明

清義明(せい・よしあき) ルポライター

1967年生まれ。株式会社オン・ザ・コーナー代表取締役CEO。著書『サッカーと愛国』(イースト・プレス)でミズノスポーツライター賞優秀賞、サッカー本大賞優秀作品受賞。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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