赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター
1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
生かすも殺すも政府次第だ
「マイナンバーカードが3月から健康保険証として使える」という、「半沢直樹」の主演などで知られる堺雅人を起用したプロモーションで話題になっていた、マイナンバーカードの健康保険証利用で、トラブルが相次いだことから、本格運用が先送りされることになったという。
マイナンバーカードの保険証利用は、Twitterにもプロモーションが流れていたので気にはなっていた。それで一度調べてみたら、まだテスト運用期間で全国で40件程度の医療機関や薬局でしか使えないと知って苦笑するしかなかったのを覚えている。
鳴り物入りで宣伝しているにしてはあまりに規模が小さすぎる。マイナンバーを普及させたいという意図が先走りすぎて、プロモーションのタイミングを間違えているとしか言いようがない。まぁ大臣がギャーギャーうるさいんだろう。
さて、そんなマイナンバーカードの保険証利用。これによるメリットにはどのようなものがあるのだろうか?
公式サイトではいくつかメリットを挙げているが「高額医療費の一時支払いが不要」になることと「医療費申請データ連携」は、確かに税制とも結び付くマイナンバーカードならではのメリットである。
特に高額医療費の一時支払いは、日頃は病院に通っていない人にとってもメリットとなる。現状ではあらかじめ限度額適用認定証の交付を受けることで、一時支払いを不要にすることもできるが、あらかじめの申請が必要なことや、申請しても1年の期限があり、日頃健康な人がこの交付を受け続けるというのはあまり現実的ではない。
急な病気で自分はもちろん周囲もバタバタしているときに、申請不要で高額医療費を支払う必要が無くなるというのは医療費負担への懸念を小さく抑えることができる大きなメリットである。
ただ、これは全国ほとんどの医療機関や薬局でマイナンバーカードが使えるようになればの話である。現状の全国40件程度の病院薬局でしか使えない段階で「マイナンバーカードが保険証代わりに使えて便利」と思う人はほとんどいないだろう。
そして当然、現状ではデメリットも少なくない。
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