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結婚後の姓は自由に選べるが、伝統の陰も色濃く 米国

【3】女性個人の好みや利便性が主な判断要素に

片瀬ケイ ジャーナリスト、翻訳者

姓の選択権はその女性のもの

 長年の伝統や生活様式が変わるのには時間がかかるもので、例えばテネシー州では1975年に同州の最高裁判決により撤回されるまで、既婚女性は夫の姓を名乗らなければ投票登録ができないという州法が残っていた。

 既婚女性の姓について当時のテネシー州最高裁判所は、「生来の姓を保持してもよいし、夫の姓を選んでも良い。選択権はその女性のものである」との判断を下した。同最高裁のジョセフ・ヘンリー首席判事は意見書の中で、「慣習のルールを法に適用することで、急速に拡大する人々の自由における事実上すべての進歩を抑え込み、阻んでしまう。私たちは新たな日を生きている」と述べた。

 Googleの消費者調査によれば、現在では約20%の米国女性が結婚後も姓を変えず、10%の女性が正式には自分の姓と夫の姓をハイフォンでつなぐ複合性にするものの、普段は生来の姓名を使い続けている。

 ウーマンリブが盛んだった70年代は、男女平等の観点から意識的に改姓しない女性もいたが、現代では女性個人の好みや利便性が主な判断要素となって

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筆者

片瀬ケイ

片瀬ケイ(かたせ・けい) ジャーナリスト、翻訳者

1964年東京生まれ。東京の行政専門紙記者を経て、1995年に留学のため渡米。カンザス大学よりジャーナリズム修士号取得。現在は米国人の夫とともにテキサス州に在住。米国の政治社会、医療事情などを共同通信47NEWSをはじめ、様々な日本のメディアに寄稿している。「海外がん医療情報リファレンス」に翻訳協力するとともに、Yahoo!ニュース個人のブログ「米国がんサバイバー通信」のオーサーでもある。共訳書に「RPMで自閉症を理解する」(エスコアール)、共著に「コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿」(光文社新書)がある。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです