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車椅子の女性が直面した問題は、将来に僕たち自身が確実に直面する問題だ

無人駅こそバリアフリー化は必須。なぜなら・・・

赤木智弘 フリーライター

 JR東日本の伊東線来宮駅に電動車椅子で降りようとした女性が、駅の利用をめぐって駅員らと揉めたという問題があった。

 女性は熱海駅の隣にある来宮駅までの利用を希望したが、駅員は来宮駅は階段しかなくバリアフリー化がされていないため、熱海駅で降車してタクシーなどを利用することを提案。しかし女性は来宮駅での下車を希望。最終的に4人の駅員が来宮駅に赴き、車椅子を運ぶことで降車できたという。

 この一件に対し、女性は「乗車拒否があった」と主張し、JR東日本は「乗車拒否とは認識していない」としている。

拡大JR来宮駅。付近には熱海梅園や美術館などの観光地もあり、一日の平均乗降客数は1000人以上はいる

批判されるべきは駅員ではなく経営者

 ネットでは理解を示す人もいるものの、「障害者がワガママを言って駅員に迷惑をかけた! 許せない!!」と怒っている人の声の方が大きいようだ。彼らの言い分としては「事前連絡も確認もせずに無人駅で降りようとするのはワガママだ」「熱海駅で降りてタクシーやバスで行けばいい」とのことだ。

 僕は今回の件に関しては、女性の言い分の方が正しいし、来宮駅にはバリアフリー化の必要があると考えている。

 バリアフリーは基本として「障害者が健常者と同じように行動できること」を目指す必要がある。しかし、今回の駅は無人駅、かつバリアフリー化がされていなかったため、重量のある電動車椅子の利用者が降りることが非常に困難であった。

 もちろん代替手段として熱海駅利用というのは現実的な解答だろう。しかし、健常者であれば熱海の隣にある駅に降りるのに、事前連絡をする必要は無く、ただふらっと駅を訪れて降りればいいということを考えれば、やはりバリアフリーが求められる時代の車椅子対応としては不十分である。隣の熱海で降りてタクシーやバスを利用するのは、乗り換えの時間もかかるし、金銭的な負担も大きくなってしまう。

 ただ、駅員がそのように不十分な対応をせざるを得なかった理由は、無人駅がバリアフリー化されていないという「経営側の都合」が非常に大きく、批判されるべきは駅員ではなく経営者である。

 ネットにはそれを承知の上であえて「ワガママな障害者が駅員を攻撃した!」と騒いで、さも「駅員vs障害者」という対立であるかのように煽っている人がいるので、問題を考える上では注意が必要である。

 こうしたケースの場合は、駅員もまたバリアフリーが不十分であるために、余計な仕事を背負わされてしまっているのである。

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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