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オンラインツアーの実力〈クロアチア編〉東欧の美しい古都を日本から堪能

【12】コロナ禍でも海を越え、ITが人をつなぐ――交流と経済活動への胎動

沓掛博光 旅行ジャーナリスト

拡大イェラチッチ広場(xbrchx/Shutterstock.com)

地元ガイドが名所を巡りライブ中継。ザグレブ市民の息吹が

 ツアー開始は夜8時30分。ザグレブ時間の昼の1時30分にあたる。世界中の別々の場所にいる主催者や案内人が、同じパソコン画面に並んでほほえむ。まずは、フラスティッチ駐日大使が歓迎の挨拶を述べた。

 クロアチアは美しい国。豊かな文化と伝統が育まれ、さらに人、料理、ワインやリキュール(2000年以上の歴史を持つ)などと、国の素晴らしさを語り、「ザグレブはクロアチアの中心。美しく魅力的なこの町にコロナ禍以前は世界中から、また日本からも多くの人が訪れていました。昨年3月に地震がありましたが、その魅力は失われていません。ぜひ、来られて、体験してみて下さい」と、コロナ収束後の旅へ誘う。

 イヴァさんは、ザグレブの見どころを巡る道すがら、町並みを撮影して画面にライブ映像で流して臨場感を伝えてくれた。日本が大好きで何度か来日したこともあるといい、「ザグレブは広い町ではないので歩いてまわるのにいい。私達は仕事や友人と会う時などよく歩いて行きますよ」と語りかけてくれた。

おなじみの店で買い物。にっこり

 これを受けて、ザグレブ出身のガイド、クリスティーナさんが、町の中心に広がるイェラチッチ広場で出迎える。彼女は、ライブでザグレブの様子を伝えながら、ビデオも使って見どころ解説もしてくれた。ビデオ画面には、解説の日本語訳が流されたのでわかりやすい。

拡大ザグレブ市民の台所とも言えるドラツ市場。案内役のクリスティーナさんの買い物の様子も紹介された=筆者撮影
 まずは広場から。「ここは市民の大好きな広場。ザグレブにはたくさんの広場がありますが、広場と言えばここ」とアピール。さらに、「待ち合わせには、広場の名前になった人の銅像ではなく、こっちの時計の下がいい」。早くも地元っ子の気分が伝わってきた。

 次に映し出されたのは、広場から階段を登った先のドラツ市場。青空市場で、近郊の農家が新鮮な野菜や果物を持ってきて販売しているとのことで、トマト、ブロッコリー、リンゴなどがカラフルに並ぶ。クリスティーナさんは早速、なじみのお店でお買い物。「お気に入りの店で気軽に話すのもこの市場の楽しみのひとつね。それにリンゴやジャガイモなどおまけしてくれるのです」と買物袋を見せながらにっこり。ザグレブ市民の台所の一端を見る思いがした。

中世の城壁の門は今、市民を守る聖地に

拡大歴史は13世紀にさかのぼる聖マルコ教会。辺りの聖マルコ広場に面して国会議事堂、首相官邸、最高裁判所が立ち、国の重要行事はこの教会で行われる(Davor Djopar/Shutterstock.com)
 画面は、近くの高い塔が目立つ建物に移る。市民に「大聖堂」の名で親しまれる聖母被昇天大聖堂だ。「ここはクロアチアで一番高い建物でしたが、昨年3月の地震で一部が崩れ落ちてしまいました」と、横に落ちた塔を指す。続いて、周辺の聖マルコ教会へ。屋根が、カラフルな2つの紋章で彩られひときわ目を引く。「まるでレゴでできているみたいでしょ。実はセラミックなんです」。かつてのクロアチア王国と現在のザグレブ市の紋章と後で知った。

 その手前の「石の門」に移り、「ザグレブはかつて城壁で囲まれた小さな町。石の門はその名残りで、入り口のひとつでした」と説明。先に進むと、お祈りする市民の姿が目に入る。柵に囲まれた中には聖母マリアの絵が飾られている。「300年前の大火にも燃えず、“奇跡の絵”と親しまれています。幸福と健康を願って祈りを捧げるのです」という。

拡大石の門内部に飾られた“奇跡の絵”と親しまれているマリア像に祈る市民=筆者撮影
 ここで、進行役の片山氏が東京から、「近くを通った時に、ちょっと立ち寄ってお祈りするという市民が多いですね」と補足説明。するとフラスティッチ大使もマイクを通して、「私はよく試験の前にここで祈り、いい結果を得られました」とご利益を披露。地域の人に親しまれている日本のお地蔵様のような存在にも思える。

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筆者

沓掛博光

沓掛博光(くつかけ・ひろみつ) 旅行ジャーナリスト

1946年 東京生まれ。早稲田大学卒。旅行読売出版社で月刊誌「旅行読売」の企画・取材・執筆にたずさわり、国内外を巡る。1981年 には、「魅力のコートダジュール」で、フランス政府観光局よりフランス・ルポルタージュ賞受賞。情報版編集長、取締役編集部長兼月刊「旅行読売」編集長などを歴任し、2006年に退任。07年3月まで旅行読売出版社編集顧問。1996年より2016年2月までTBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」旅キャスター。16年4月よりTBSラジオ「コンシェルジュ沓掛博光の旅しま専科」パーソナリィティ―に就任。19年2月より東京FM「ブルーオーシャン」で「しなの旅」旅キャスター。著書に「観光福祉論」(ミネルヴァ書房)など

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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