斗鬼正一(とき・まさかず) 江戸川大学名誉教授
1950年鎌倉生まれ。文化人類学者。専門は都市人類学、生活文化論。著書に『目からウロコの文化人類学入門―人間探検ガイドブック』(ミネルヴァ書房)、『頭が良くなる文化人類学 「人・社会・自分」-人類最大の謎を探検する』(光文社新書)、『開幕!世界あたりまえ会議 私の「ふつう」は、誰かの「ありえない」』(ワニブックス)など。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
効率一辺倒、弱者や多様性への配慮欠如を乗り越えた「ニューノーマル」めざして
繰り返し襲うパンデミックは人類に恐るべき被害をもたらしてきましたが、他方で文化変容のきっかけにもなりました。そもそも検疫、ワクチン、公衆衛生、下水道といったイノベーションを促進したのですから、まさにパンデミックは「禍福転換」のチャンスです。
ですからまずはメーカーに、100年に一度の大イノベーションを期待したいのです。「肘タッチ」で支えるベルトとか、ベルト消毒器なども待たれますが、中間だけ高速化する「可変速エスカレーター」なら歩く必要はありませんし、ステップの高さも奥行きも50センチとなれば歩けません。逆に、歩いてもぶつからない幅3メートルの「超広幅エスカレーター」、ベルトにつかまらないと倒れてしまう「斜行エスカレーター」、ベンチに座って乗るらくちん「椅子カレーター」など、100年前の知恵に先祖返りという手もあるのです。
何でも機械、技術で対応ではなく、機械を使う人間の側もイノベーション、ニューノーマルを考えるチャンスです。行列の不合理解消に「フォーク並び」が登場したように、エスカレーターも左右交互の「ジグザグ乗り」となれば、「ソーシャルディスタンス」もクリアです。
エスカレーターは上り下りを楽にして、それを楽しむ機械として登場したのですから、
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