西郷南海子(さいごうみなこ) 教育学者
1987年生まれ。日本学術振興会特別研究員(PD)。神奈川県鎌倉市育ち、京都市在住。京都大学に通いながら3人の子どもを出産し、博士号(教育学)を取得。現在、地元の公立小学校のPTA会長4期目。単著に『デューイと「生活としての芸術」―戦間期アメリカの教育哲学と実践』(京都大学学術出版会)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
「親の義務」共同化で公教育の再定位を
子どもには教育を受ける権利があり、親には義務があるとしても、その義務の「果たし方」がコロナ禍をきっかけにさらに鋭く問われている。なるべく感染するリスクを下げるためにオンライン学習を求めることが親の義務なのか、あるいは多少のリスクは覚悟の上で教室に送り出すことが親の義務なのか。
ここで重要なのは、答えに優劣をつけることではなくて、多様な学び方を相互承認できるようになることである。たとえば、感覚過敏でマスクをつけることのできない子どもを、教室にどのように受け入れるのか。自分と異なる他者を受け入れるということは、同時に自分が他者に受け入れられる可能性を示唆している。このような相互性をどのように教室の中に築くかが問われているのである。
教育学者の堀尾輝久は、子どもの権利を起点に義務教育を構想し、次のように整理している。
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