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[52] 「住宅危機」~長期のコロナ禍で深刻化の一途

進化する民間の居住支援に行政は学べ

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

「個室シェルター」で緊急支援、住宅確保もサポート

 私が代表理事を務めている一般社団法人つくろい東京ファンドは、都内の空き家や空き室を活用した個室シェルター事業を2014年から展開してきたが、昨年春以降は個室シェルターを34室増設し、コロナ禍の影響で住まいを失った方々への緊急支援に取り組んでいる。

 個室シェルターは、アパートの空き室を団体で借り上げており、各部屋には着の身着のままの状態の方がすぐに生活できるように、最低限の家電製品や寝具が設置されている。入居期間は3~4カ月で、その間にスタッフが自分名義の住まいを確保してもらうためのお手伝いをしている。

拡大つくろい東京ファンドの個室シェルター
 つくろい東京ファンドが昨年4月から今年3月までの間、個室シェルター提供や生活保護の申請同行など直接的なサポートをした人は、92世帯94人にのぼった(一度だけの相談や他団体と連携して運営しているシェルターに入居した人は除く)。

退所者の多くが自分名義のアパートへ

 この94人の属性や状況をまとめると、下記のようになる。

・94人中、男性は82人(87.2%)、女性は12人(12.8%)。
・住まいのある人は7人、路上生活やネットカフェ生活など、住まいのない状態の人は87人。
・年齢は17歳から71歳までと幅広く、平均年齢は43.2歳。30代以下が全体の約4割を占めている(10代5.3%、20代17.0%、30代18.1%)。
・94人中、団体のスタッフが同行して生活保護を申請した人は79人(84.0%)。残り15人(16.0%)は従来からの仕事を続ける等、生活保護以外の方法で生計を立てている。
・住まいがない状態の87人のうち、59人は団体で運営している個室シェルターに入居し、24人は東京都が生活困窮者向けに借り上げているビジネスホテルに入居した。残りの4人は公的な施設等に入所した。
・87人中、現在もシェルター等に入居中の人は18人。すでに退所した69人のうち、自分名義のアパートに移った人は53人、グループホームやシェアハウスに入居した人は3人、住み込みの仕事に就職した人は2人、他施設など3人、行方不明8人となっている。
・相談時に住まいのあった7人については、全員、その後も従来の住まいを維持できている。

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)、『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』(エディマン/新宿書房)、『生活保護から考える』(岩波新書)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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