渋谷淳(しぶや・じゅん) スポーツライター
1971年、東京都出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、新聞社勤務を経て独立。ボクシング、柔道、レスリング、ラグビー、バスケットボールなどを取材。ボクシング・ビート誌のウェブサイト「ボクシングニュース」の編集も。著書に『慶応ラグビー 魂の復活』(講談社)
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
多くのチャンピオンを抱える東京の有力ジム、角海老宝石ジムの浅野完幸マネジャーはそうした危機感を抱く一人だ。話を聞いてみよう。
「今、日本ランキング表を見るとフライ級から下、スーパー・ライト級から上の階級は空欄が多い。選手が減っていて、ランキングが全部埋まらないということです。そういう背景もあって、私は規制緩和してキックやMMA(総合格闘技)の選手に二刀流でやってもらえばいいと考えています。門戸を開放したからといって外部の選手がきてくれるかどうかはまた別の話ですけど、そうやって選手を増やす努力をしていくべきだと思うんです。海外で二刀流はよくある話ですし、交通整理さえきちんとすればできると思うんですよね」
浅野マネジャーが指摘するように、日本ランキング(2021年3月度)はタイトル挑戦権のある12位までを見ても、最軽量級のミニマム級は上から8位まで、その上のライト・フライ級は7位までしか埋まっていない。スーパー・ライト級から上のクラスは7位までで、ミドル級にいたってはチャンピオンと1位と2位の3人で、タイトルマッチの開催が危うい状況だ。
そもそもボクサー・ライセンス保持者(プロボクサー)はこの15年余りで激減している。2004年の3630人をピークに減少が続き、最新のデータでは1497人となっている。少子化や新型コロナウイルスの影響があったとはいえ、最盛期の4割というのは、だれがどう見ても“危険水域”と言えるだろう。
こうした事態に日本プロボクシング協会が組織として問題意識を持っていないわけではない。協会は
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?